Research Abstract |
平成6年の5月から8月にかけて,秋田県内の特別養護老人ホーム1カ所の入所者,老人保健施設3カ所の入所者,老人病院ならびに精神病院3病院の入院患者に対して,第1回目の評価を実施した.対象者の痴呆の程度を検討するために,改訂版・長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を実施した.また,対象者の状態を,身体機能,身辺処理技能(日常生活機能)および社会的行動の合計10項目からなるパラチェック老人行動評定尺度(PGS)を実施して,把握した.また,痴呆老人の記憶障害を検討するため,自叙伝的・個人史的意味記憶の検査を作成し,一部の対象者に実施した. 平成6年7月から12月にかけて,初回評価と同一の対象者に,2回目のHDS,PGSを実施した(再評価).死亡,退院・退所などの対象者も少なくなかったため,老人保健施設1カ所を追加し,上述の検査等を実施した.さらに,平成7年1月から3月にかけて,再度,HDS,PGSを実施した.また,自叙伝的・個人史的意味記憶の検査も再評価した. 病院・施設によっては,専属の作業療法士が絵画,藤細工,刺し子,折り紙などの通常の作業療法を実施しており,また,風船バレーボール,ボール蹴り,パラシュートなどの活動(感覚統合アプローチ)を実施している施設もある.さらに,作業療法士が配置されていない施設もある。 平成7年度においては,収集した資料を整理し,年齢,発症からの期間,入院期間など,多様な側面から資料を分析し,作業療法を実施していない対象者,通常の作業療法を実施している対象者,感覚統合アプローチを併用している対象者によって,繰り返し実施した評価得点がどのように変化したかを検討する.さらに,作成した自叙伝的記憶および個人史的意味記憶についても検討を加える.
|