1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の食生活および生活活動度に関する調査研究(細胞性免疫能を指標とした抗老化因子の検討)
Project/Area Number |
06670419
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森口 覚 徳島大学, 医学部, 助教授 (80166397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸野 泰雄 徳島大学, 医学部, 教授 (80035451)
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Keywords | 高齢者 / 細胞性免疫 / 食生活 / 抗老化因子 / 生活活動度 / 老化モデル / 運動 |
Research Abstract |
1.平成6年度の調査成績から60才代の高齢者を若齢者と同様の高い細胞性免疫能を維持している者と著明な細胞性免疫能低下を示す者の2群に分け、各群間の栄養素摂取並びに生活活動度について比較検討した。その結果、男性では摂取エネルギーの高い者ほど細胞性免疫能は低い傾向にあり、高齢者における肥満が健康阻害因子の一つであることを認めた平成6年度の結果と一致するものであった。しかし、消費エネルギーや生活活動度との間には有意な相関はみられなかった。また、同年代の女性で摂取及び消費エネルギー並びに生活活動度との間にも有意な相関はみられず,各パラメーターと細胞性免疫能との相関は男性に比しずっと低い傾向にあった。その他の栄養素摂取と細胞性免疫能との関連についても検索し、ビタミンAやCの摂取量と細胞性免疫能との間には男女とも有意な相関を認めなかったが、ビタミンDの摂取が多い者ほどリンパ球幼若化能が男女とも有意に高いことを見出した。 2.タイムスタディ(生活時間調査)により各人の消費エネルギーを算出するとともに生活活動度を求めた。その結果を細胞性免疫能と比較したが全年齢を通じて有意な相関はみられなかった。 3.自然高血圧易発症ラット(SHR)が加齢に伴い血圧の上昇を示すのみならず、免疫学的にはT細胞を中心とする細胞性免疫能の低下を早期から示すことが知られている。実際、今回の我々の実験においても、12週齢頃から対照のウイスターKyoto(WKY)ラットに比し胸腺リンパ球のT細胞マイトジェンに対する反応性が有意に低下すること見出した。この機序としてT細胞増殖因子であるInterleukin-2(IL-2)産生の低下、免疫能に対して抑制的に働くPGE2産生の上昇並びに自然胸腺障害性自己抗体(NTA)産生の上昇等が関与することを見出した。 4.SHRの加齢に伴う細胞性免疫能低下に対する高ビタミンE食投与の影響について検討した。その結果、高ビタミンE食投与によりSHRの加齢に伴うTリンパ球幼若化能の低下が一時的ではあるが有意に改善された。その機序としてT細胞増殖因子であるIL-2産生の上昇、宿主免疫能に対して抑制的に働くPGE2産生の低下並びにNTA産生の抑制と関連することを見出した。 5.消費エネルギーと細胞性免疫能との間にはヒトでは有意な相関を認めなかったが、一般に運動トレーニングにより宿主免疫能の昂進することが知られている。今回は、トレッドミルを用い、一過性運動負荷直後の細胞性免疫能について検討した。その結果、リンパ球幼若化能やNK活性等の細胞性免疫能が一過性運動負荷直後に著明に低下することを見出し、それが血中乳酸濃度やPGE2濃度の上昇、血中GlnやArg濃度の低下と関連することを見出した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Moriguchi, S., et al.: "Glutamine supplementation prevents the decrease of mitogen response after a treadmill exercise in rats" J. Nutr. Sci. Vitaminol.41. 115-125 (1995)
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[Publications] Moriguchi, S., et al.: "Obesity is a risk factor for deteriorating cellular immune functions decreased with aging" Nutr. Res.15. 151-160 (1995)
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[Publications] Moriguchi, S., et al.: "Vitamin E prevents the decrease of cellular immune function with aging in spontaneously hypertensive rats" Nutr. Res.15. 401-414 (1995)
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[Publications] Oonishi, K., et al.: "The role of macrophages in increased mitogen response of rat splenic lymphocytes following in vitro incubation with vitamin E" J. Nutr. Sci. Vitaminol.41. 445-453 (1995)
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[Publications] Oka, T., et al.: "The increase in muscle glutamine concentration in hindlimbs of tumor-bearing rats is associated with facilitating of arginine uptak" Nutr. Res.15. 1497-1505 (1995)
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[Publications] Kato, M., et al.: "Body mass index (BMI) is reliable index to estimate obesity for deteriorating health" Tokushima J. exp. Med., in press. (1995)
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[Publications] 森口覚 他: "ビタミンE研究の進歩V" 共立出版, 350 (1995)
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[Publications] 岸野泰雄 他: "スポーツに必要な実践栄養学-免疫を高めるために-" 診断と治療社, 130 (1995)