1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670426
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
秋葉 澄伯 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50145554)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 慎一 鹿児島大学, 医学部, 講師 (50230553)
安藤 哲夫 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10107865)
|
Keywords | 母体血 / 臍帯血 / 総水銀濃度 / 母児相関 / 胎盤蓄積性 / 胎児移行性 |
Research Abstract |
これまでに鹿児島県下の三つの病院で出産した約400組の母親とその児から、血液、毛髪などを、母親の了解を得た上で採取した。現在までに約300組の母児のデータについて解析を行った。分娩後5日までに採血した母の血液と臍帯血から得た血球中の総水銀濃度は対数正規分布をとり、幾何平均は母体血球の場合で、離島部(193名、分娩後5日目に採血)は43.7ng/g、本土部(64名、分娩後3日目に採血)は16.8ng/gであった。また児の臍帯血球の場合で離島部(193名)58.9ng/g、本土部(92名)24.6ng/gであった。離島部では本土部に比べ母児とも約2倍高いが、これは1976年に鈴木らも報告しており、魚食量の違いを反映するものと考えられるが、この点については今後詳しく検討する。母児の血球総水銀濃度の詳細な解析は離島部のみ(193組)について完了しているが、児の性別に見ると女児(90名)が60.8ng/gで、男児(103名)が52.6ng/gと女児の方が男児より高めであった。母の血球水銀濃度が100ng/gが9名おり、最高値は143.9ng/gであった。これは毛髪水銀で25ppmに相当する値で、諸外国では児の成長に影響を与えるとする報告もある。また、児では100ng/gを越えるものが22名、最高値は205.0ng/gであった。母児の血球総水銀濃度は魚介類摂取量と相関しており、魚が主要な水銀のソースと考えられた。母と児の水銀レベルは正の相関を示したが、児の水銀レベルを母のレベルで除した比は母のレベルと逆相関していた。また児の水銀レベルは胎盤重量と逆相関を示した。これは無機水銀が強い胎盤蓄積性を有しながら、胎児移行性が弱いか持たないというBerlin(1963)の報告を支持するものである。
|