1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者痴呆症の早期発見を目的とした記銘力低下に関連するライフスタイルの研究
Project/Area Number |
06670428
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久保 奈佳子 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (30178032)
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Keywords | 高齢者 / 痴呆症 / 早期発見 / 記銘力 / ライフスタイル / 高次脳機能 / 運動能力 / 脳MRI |
Research Abstract |
本年度は、高齢者の痴呆症早期発見を目的として、ライフスタイルに関する問診、高次脳機能、運動能力、末梢循環などについて個別に調査を行った。対象者は、60歳以上の在宅高齢者302名(男性71、女性231)である。平均年齢と標準偏差は、70.8歳±6.2歳(男性73.0±6.5、女性70.1±6.0)であった。 ライフスタイルに関する問診項目は、健康状態、食習慣、飲酒・禁煙歴などである。高次脳機能および心理神経学的評価としてミニメンタルスケール(MMS)、仮名拾いテスト、動物名想起テスト、数唱テスト、三宅式言語記銘力検査、Raven色彩マトリクス検査、Reyの複雑図形模写、PGCモラールスケール、Zungの鬱評価尺度などを実施した。運動能力評価として手指タッピング能、握力、大腿四頭筋力、敏捷性、平衡感覚などを実施した。末梢循環の評価には加速度脈波計を用いた。さらに対象者のうち111名(67-69歳が22名、70-74歳が48名、75-79歳が30名、80-84歳が11名)に脳MRI検査を実施した。なお、本調査に関しては、すべて同意を得て実施した。 これらの対象者のMMS得点(30点満点)は24点以上で、通常の痴呆症スクリーニング検査ではほとんど正常の者ばかりである。このような対象者の脳MRI検査所見をみると、深部白質病変は60歳代で63.6%、70-74歳で85.4%、75-79歳で86.7%、80-84歳で90.9%と加齢とともに出現頻度が多くなっており、特に、70歳代前半で旧液に深部白質病変の増加が認められた。側脳室のT_2 強調画像での脳室周囲の高信号域(PVH)は60歳代で13.6%、70-74歳で18.8%、75-79歳で33.3%、80-84歳で54.5%に認められ、75歳以上で急増していた。今後、これらの脳MRI所見と高次脳機能評価、運動能力評価、末梢循環評価およびライフスタイルなどとの関連について解析し、早期痴呆症スクリーニングとして有用な評価(検査)方法を検討の予定である。
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Research Products
(1 results)