1994 Fiscal Year Annual Research Report
造船労働に伴うアスベスト曝露作業者の死亡状況に関する歴史的コ-ホ-ト研究
Project/Area Number |
06670432
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
車谷 典男 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10124877)
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Keywords | 造船労働 / アスベスト / 歴史的コ-ホ-ト研究 / 死亡 |
Research Abstract |
若干の遅れがあるもののほぼ予定通り実施できており、来年度中に論文、学会等でその成果を公表できる見込みである。1.横須賀の艦船修理廠において、開設時の昭和20年より現在に至るまでの間のいずれかの期間に、主としてボイラー関連作業に従事してきた者を、当時の従業員名簿や写真、退職者のヒアリング結果から拾い上げ、ほぼ全員に相当すると思われる184名を調査対象者としてリストした。2.当初、消息不明者が4割程度占めていたが、その後、当時の住宅地図や電話帳さらに同僚の記憶を手がかりに、転居先等を突きとめるといった現住所の割り出し作業を行い、約2割程度まで消息不明者を減らすことに成功した。この作業は訪問調査と並行させて現在も行っており、最終的に1割程度まで減少させることができると期待している。3.一方で生存者用、死亡者用の調査票を作成し、面接調査者間のバイアスを避けるため、調査マニュアルを作成して面接方法やその意義についての理解を深め、調査者間の意志統一を図った。4.事前に手紙による調査協力依頼を行い、生存者の場合は本人に、死亡者の場合は近親の遺族に対して、原則として訪問調査を実施してきており、2月上旬時点で110名の調査を終了している。これから3月下旬までにさらに40名の調査を予定しており、その時点で全体の8割が終了する見込みである。5.現時点で肺癌死亡が5名、中皮腫死亡が1名、塵肺死亡が2名等、アスベスト関連疾患による死亡が遺族からの聞き取りで判明している。6.今後、死亡診断書を閲覽入手できるよう法務局への認容手申請を行い、遺族からの情報を確認するとともに、必要に応じて病理所見等による確定診断を求める予定である。
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