1994 Fiscal Year Annual Research Report
発達過程から見た公的診療所機能の標準化に関する研究
Project/Area Number |
06670433
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 将人 自治医科大学, 医学部, 講師 (50211272)
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Keywords | 発達段階 / 診療所機能評価 / 医師交替 / 保健医療福祉活動 / 行政課題 / へき地 |
Research Abstract |
平成6年度は次の項目について基礎調査を実施した。 (1)基礎的な文献や関連図書を収集した。 (2)診療所機能評価法の基本構成概念を検討した。 A)発達段階の異なる診療所を訪問し、取材を通じて基本構成概念の検討を行った。 B)医師交替が常態化している診療所を訪問し、各職種から見た医師交替による診療所機能の変容を明らかにした。 C)診療所医師の定期的交替によって、最も変動しやすい要因は何かを既知の統計的指標を用いて評価した。 (3)発達段階と医師交替を踏まえた診療所機能評価法の概要を検討した。 (4)診療面のみでなく、保健福祉分野での活動状況も調査した。 岐阜県揖斐郡内の春日村診療所・久瀬村診療所、熊本県湯島診療所、栃木県栗山村診療所、宮城県七ケ宿町国保診療所等数カ所の診療所を訪問し、看護婦・現在の勤務医師・事務長に対するインタビューを行ってみたところ、いくつかの問題点が浮かび上がった。すなわち、 (1)前任医師が行ってきた保健医療福祉活動方針について、新任医師が無条件にそれを継承するとは限らず、むしろその逆の場合も多い。 (2)当該市町村の行政課題や首長の考え方が、どれくらい診療所機能に影響を与えているかということ自体が、診療所の発達段階の規定要因になっている。 →したがって、いわゆるへき地においては、地域診療所に対する需要に根ざした機能、あるいは当該市町村の行政課題や首長の考え方が保健医療福祉のサービス内容を決定することは少なく、いまだに診療所医師の考え方や活動方針の方が尊重されがちである。すなわち、へき地診療所においては医師確保自体いまだに困難をきわめており、自治医大卒業医師を継続的に交替派遣されている市町村でさえも、医師交替に伴う診療所機能の変化をコントロールすることができない可能性が高いことがわかった。
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