1994 Fiscal Year Annual Research Report
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06670436
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 英佑 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80056879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 正祥 鉄道総合技術研究所, 中川研究室, 室長
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Keywords | 磁場 / 乳酸脱水酵素 / 小核試験 / アニリン脱水酵素 / 7-エトキシクマリンジエチラーゼ / フリーラジカル / 過酸化脂質 / マロンジアルデヒド |
Research Abstract |
高静磁場の生体影響について検討しているが、今年度明らかとなったことをまとめると次のようになる。 1.血清乳酸脱水素酵素(LDH)について:5テスラ(T)では、明らかにLDHの上昇が認められたが、磁場の強さが下がるにつれLDH活性値は低下し、1Tでは認められなかった。 2.CHL細胞を用いたin vitro小核試験では、4.7TとマイトマイシンC(MMC)を共存曝露した時とMMC単独とを比較した。その結果、MMCのみで小核誘発能は上昇するが、MMC共存曝露では6時間曝露で、単独曝露の時より低値を示した。48時間曝露でも低下を認めた。これは、強静磁場が細胞の分裂に抑制的に働くことを示唆していると考えられる。 3.肝臓中のアニリン脱水酵素活性(ADH)が磁場曝露で影響を受けるかを検討した。その結果、4.7Tの強い磁場曝露で24時間の時、活性値が有意に増加する(p<0.05)ことを観察した。一方、7-エトキシクマリンジエチラーゼ(7ECD)活性値を検討したが、蛍光光度計を用いた測定方法では、7ECDの失活が秒単位で生じるため正確な測定ができないことが明らかとなった。今後、別の測定方法を検討する必要がある。 4.電磁波の1つである放射線では、フリーラジカル(FR)を生ずるが、磁場でもFRの発生が考えられるので、FRの生成の有無を過酸化脂質の生成量をチオバルビツール酸法によりマロンジアルデヒド(MDA)を指標に検討した。その結果、4.7Tの強磁場曝露をした場合に、肝臓におけるMDA量の増加が認められたことからFRの生成が証明された。しかし他の臓器では認められなかった。 以上の結果から、高静磁場は生体に対して全く影響を与えないわけではない。適切な指標選択をとれば生体影響をとらえられる可能性が示唆された。
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[Publications] 清水英佑: "磁場と健康:磁場による健康影響" 環境衛生. 12. 6-10 (1993)
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[Publications] Shimizu H: "Effects of Zinc,Celenium and Calcium on the nephrotoxicity of cadmium in primary cultures of rat reral proximal epihelial cells." Biol Trace Element Res. 36. 219-277 (1993)
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[Publications] Nakagawa M: "Exposure to static magnetic field increases the freduency of somatic chromosomal recombination." Abstract Book of 16th Annual Meeting of Bioelectromaghetic Society. 142. 12-17 (1994)
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[Publications] Nakagawa M: "Electromagnetische Felder and krebsgefahr Standard sisterte Mortalitatsraten unber veschiedenen Arbeitsbedingungen." Sichere Arbeit. 2. 30-39 (1994)
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[Publications] 清水英佑(分担): "現代内科学大系75,環境因子による疾患:電磁場による障害" 中山書店, 10 (1994)
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[Publications] 中川正祥(分担): "現代労働衛生ハンドブック・増補編、磁場(5.15)" 労働科学研究所, 3 (1994)