1995 Fiscal Year Annual Research Report
医学研究領域における出版バイアスの大きさの推定とそれに対する対策
Project/Area Number |
06670437
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
杉田 稔 東邦大学, 医学部, 教授 (80051845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊津野 孝 東邦大学, 医学部, 講師 (20213019)
金森 雅夫 東邦大学, 医学部, 助教授 (90127019)
杉田 稔 東邦大学, 医学部, 教授 (80051845)
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Keywords | Meta-analysis / Odds ratio / Publication bias / Medical studies |
Research Abstract |
結果が明快でない研究つまりオッヅ比が1に近いものあるいは統計学的に有意でないものは発表され難いという研究発表の偏り(publication bias、 出版バイアス)が認識されている。したがって、メタ・アナリシスで発表された研究のみから計算された統合オッヅ比の値は過大評価となる。いくつかの医学研究領域で発表研究のオッヅ比のヒストグラムと未発表研究をも含む全研究のオッヅ比の確率密度関数図から、研究の未発表の状況を探ってみた。その方法として、Sugitaらが開発した積率法により間接的に研究発表の偏りの大きさを推定してメタ・アナリシスでそれを除去した未発表研究をも含む全研究の統合オッヅ比を求める方法を利用した。停留精巣と精巣腫瘍との関係の疫学研究のような研究結果が明快な研究領域では未発表研究はあまり存在しないようである。しかし、研究結果が明快でない受動喫煙と肺癌との関係の疫学研究や大腸・直腸癌に対する補助化学療法の臨床試験研究のような微弱な関係を対象とする研究領域では、オッヅ比1近傍で未発表研究がかなり存在するようである。研究発表の偏りの除去前後のメタ・アナリシスによる統合オッヅ比の差は非常に大きくはないことが本研究で指摘された。しかし、受動喫煙と肺がんの関係の疫学研究のように関係の強さは微弱でも、社会的問題として大きい場合には、未発表研究の影響を無視すべきではない。微弱な関係を対象とする医学研究領域において、疫学研究ではオッヅ比が1ないし1よりやや小さい研究が、臨床医学研究ではオッヅ比が1よりやや大きい研究が未発表となり易いことが示唆された。今年度の研究としては、臨床医学研究領域を対象としたことと総括などであった。
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[Publications] Sugita M, Izuno T, Kanamori M: "Recalculation of summarized odds ratios for the relationship between passive smoking and lung cancer based on data in the EPA Report" Indoor Environ. 4. 177-181 (1995)