1994 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞、分化におけるカルシニューリンの役割についての検討
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06670477
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田村 遵一 群馬大学, 医学部, 助手 (60192184)
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Keywords | 造血幹細胞 / 分化 / カルシニューリン / 脱リン酸酵素 / コロニー / 赤芽球 |
Research Abstract |
造血幹細胞の分化に蛋白脱リン酸酵素、カルシニューリンがどのような役割を果たしているか検討するため、予定された実験を実施し、以下の新たな知見を得た. 1.造血幹細胞が赤芽球へ分化するin vitroコロニー法を用いた実験系に、カルシニューリンの特異的インヒビターであるシクロズポリンA(CsA),またはFK506を添加すると、形成される赤芽球コロニー数が増加した.赤芽球の分化にカルシニューリンが関連し、赤芽球分化を抑制する信号伝達系に関わっていることが示唆された.この知見は骨髄移植時にCsAを用いる際に臨床上役立つのみならず、再生不良性貧血の治療にCsAが有効であることの機序を考察するうえで重要な知見と考えられる 2.しかし同実験を、造血幹細胞と考えられるCD34陽性細胞を純化して施行すると、CsA,FK506のコロニー形成促進作用はほとんどみられなかった.カルシニューリンは造血細胞自身よりも、むしろT細胞などのアクセサリーセルを介した造血の調節により関連していることが示唆された.このことはT細胞除去分画の細胞を用いてもCD34陽性細胞分画と同様の結果を得たことからも確認された. 3.顆粒球コロニー産生系でも同様の傾向がみられた. 4.FACSを用いて各系統の細胞内カルシニューリンの含有量を調べたところ、顆粒球系やリンパ系の細胞株よりも、赤芽球系の細胞株のほうが多いことを見いだした.この知見と1.で述べた知見は一見相反するようであり、その関連性を新年度に検討する予定である.また最近血小板増殖因子が同定され、我々も入手可能であるので、巨核球分化とカルシニューリンの関連性についても検討する予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Morio Sawamura: "Multiple auto antibody production in a patient with splenic lynphona" Annals of Hematology. 68. 251-254 (1994)
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[Publications] 山口小百合: "ミクロスポリンが著効を示したLangerhans cell histiocytosisの1例" 日本内科学会誌. 83. 125-126 (1994)
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[Publications] Junichi Tamura: "Case Report-Suppressed natural killer cell activity in ulceratire culitis" Journal of Medicine. (印刷中).
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[Publications] Kayoko Murayama: "FK506 and Cyclosporin A enhance IL-6 production in monocyces A single cell assay" Mediators of Inflammation. (in press).
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[Publications] 田村遵一(分担): "移植免疫の最前線" 羊工社(磯部光章編), 166 (1994)