1994 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患におけるBリンパ球異常活性化の機序の分子生物学的解析…特に細胞周期制御機構について
Project/Area Number |
06670500
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
広畑 俊成 帝京大学, 医学部, 講師 (90189895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 たみ子 帝京大学, 医学部, 助手 (80082204)
原岡 ひとみ 帝京大学, 医学部, 助手 (60228632)
橋本 喬史 帝京大学, 医学部, 助教授 (30082142)
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Keywords | B細胞 / 細胞周期 / IL-2 / IL-10 / サイクリン / 免疫グロブリン / アポトーシス / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
本研究においては、自己免疫疾患における主要病態であるB細胞の異常活性化の機序の解析のために、ヒトB細胞の細胞周期回転の制御機構(特にサイクリンの発現)とそれに対する各種サイトカイン(IL-2・IL-10)の役割について検討を行った。その結果、B細胞の抗原レセプターをStaphylococcus aureus(SA)でクロスリンクし刺激した後、約72〜96時間後にサイクリンAの発現がピークに達することが明らかになった。このサイクリンAの発現に対して、IL-2及びIL-10が相剰的に増加させた。同時にIL-2及びIL-10はSA刺激B細胞による免疫グロブリン産生も相剰的に増加させたことから、サイクリンAの発現の増強がB細胞の細胞周期回転の促進のみならず、免疫グロブリン産生細胞への分化に対しても重要な役割を果たしていることが示唆された。一方、免疫調節剤・抑制剤のうちで、特にB細胞の免疫グロブリン産生を特異的に抑制するブシラミン・ミゾリビンのうちで、ミゾリビンはサイクリンAの発現を顕著に抑制したのに対して、ブシラミンはこれを全く抑制しなかった。従って、細胞周期上のGI-S期の移行のブロックにはサイクリンA以外の複数の因子が関与することが確認された。さらに、ミゾリビンはサイクリンAの発現を特異的に抑制する薬剤として、今後自己免疫疾患の治療への応用が十分期待される。一方、IL-10はSA刺激B細胞のアポトーシスをむしろ促進したが、これをIL-2は阻害した。従って、IL-2とIL-10のB細胞による免疫グロブリン産生の相剰的促進効果においては、アポトーシスの抑制といった機序も関与することが示唆された。今後、以上のようなB細胞中の種々な現象が各自己免疫疾患の病態と如何に関わっているかを追求することが必要と考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hirohata S,Kosaka M.: "Association of anti-Sm antibodies with organic brain syndrome secondary to systemic lupus erythematosus." Lancet,. 343. 796-796 (1994)
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[Publications] Hirohata S,Lipsky PE.: "Comparative inhibitory effects of Bucillamine and D-penicillamine on the function of human B cells and T cells." Arthritis Rheum.37. 942-950 (1994)
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[Publications] Isshi K,Hirohata S,Hashimoto T,Miyashita H.: "Systemic lupus erythematosus presenting with diffuse low density lesions in the cerebral white matter on computed axial tomography scans:Its implication in the pathogenesis of diffuse central nervous system lupus." J、Rheumatol.21. 1758-1762 (1994)
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[Publications] Itoh K,Inoue T,Ito K,Hirohata S.: "The interplay of interleukin-10(IL-10)and interleukin-2(IL-2)in humoral immune responses:IL-10 synergizes with IL-2 to enhance responses of human B lymphocytes in a mechanism which is different from upregulation of CD25 expression." Cell.Immunol.157. 478-488 (1994)
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[Publications] Hirohata S,Hirohata K.: "Interactions between lymphocytes and type A synoviocytes in rheumatoid synovium." Lancet. 344. 1158-1158 (1994)