1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト大腸がんの培養細胞株を用いた転移能獲得を規定する遺伝子の同定
Project/Area Number |
06670512
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
斎藤 博 弘前大学, 医学部, 講師 (70196004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 均 弘前大学, 医学部, 助手 (20227797)
大川 恵三 弘前大学, 医学部, 助手 (70250206)
吉田 豊 弘前大学, 医学部, 教授 (80003375)
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Keywords | 大腸がん / 転移能 / 培養細胞株 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は、同一患者から得られた外科的摘出標本の大腸がん原発腫瘍と肝転移巣の腫瘍組織を集積した。このような材料は少ないため、効率よく細胞株を樹立する目的で、別のやはり外科手術で得られた大腸がん原発腫瘍組織を用いて。細胞株樹立のための至適条件を検討した。即ち、これまで15例の大腸がん患者から得た腫瘍組織について、これらを無菌的にコラゲナーゼ処理により、がん細胞をウシ胎児血清を含む培養液に懸濁し、CO_2インキュベータ中で培養した。その結果、数例に比較的安定な細胞の培養状態を達成できたが、細胞株の樹立に至ったのは2例にすぎなかった。この培養条件は、特に原発腫瘍組織においては、細菌感染への対策などいまだ改善の余地があり、引き続き検討中である。同一患者から得られた原発腫瘍と肝転移巣からの細胞株樹立は1例の肝転移巣において達成されたが、これも現在進行中である。 細胞株樹立のためには3カ月以上の長期間を要し、その培養条件の確立には時間を要するが、初年度でようやく培養条件が整いつつある状態にこぎつけた。また、同一患者からの原発腫瘍と肝転移巣のペア組織検体の収集が予定外に遅れたが、これも現在組織検体の入手先を拡大して引き続き収集中である。また、3例の原発腫瘍組織、肝転移組織のセットから、RNAを抽出し、また、この中の1例の肝転移組織より得られた細胞株からもRNAを抽出しており、これらを用いて次年度に予定しているPCR法を用いた遺伝子発現比較法の実験条件の検討中である。 次年度は検体の収集を進め、培養条件を確立して同一患者からのペア組織検体から5例の樹立細胞株を得て、以後の解析を行う予定である。
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