1996 Fiscal Year Annual Research Report
Gene Cutterを用いたC型肝炎ウイルス感染症の遺伝子治療
Project/Area Number |
06670532
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 栄司 信州大学, 医学部, 講師 (50163506)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 遺伝子治療 / リボザイム / ポリマーベクター |
Research Abstract |
HCV gene cutterは肝細胞特異的に取り込まれ,HCV RNAを特異的に切断破壊する。本年度は、肝細胞内の標的の存在する部位へribozymeを効率良く送り込むことを目的に、ポリマーベクターの開発を行った。 ポリマーベクターとは、(a)標的細胞表面の特異的受容体を認識するLigand site、(b)核酸(DNA or RNA)結合保護部、(c)Endosome breakout siteの3部位からなる、有機化学合成の人工合成ベクターである。現在HCV培養系がないため、培養系の存在するA型肝炎ウイルス(HAV)を検討対象とした。HAV RNAを効率的に切断するRibozymeを作成し、Hep G2 cellでのHAV培養系でポリマーベクター/Ribozyme complexの効果の検討を行った。 ガラクトース残基を有するスチレン誘導体であるN-P-ビニルベンジル-D-ラクトンアミド(VLA)のポリマー(PVLA)を肝細胞に対する標的リガンド鎖とし、これと、生体膜親和性の官能基を末端に有するリジンオリゴマーとを重合させた共重合体をポリマーベクターとした。このポリマーベクターは核酸と結合し、血清中で核酸を保護した。次に、テキサスレッド標識Oligo-DNAとポリマーベクターとの複合体を形成させ、標的細胞特異的な取り込みを共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。導入は肝細胞のみに認められ、細胞質へのOligo-DNA導入が証明された。また、細胞質内分布ではEndosomeの他に、細胞質内に核酸が放出されたことを示す蛍光も認められ、ポリマーベクターは標的細胞指向性の遺伝子キャリアーとして使用可能であることが判明した。この結果は第55回日本癌学会総会の遺伝子治療のワークショップにて報告した。現在、さらに効率良くribozymeの効果を発揮させることを検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山田修平: "HCVを標的とした遺伝子治療" Molecular Medicine. 32・2. 198-200 (1995)
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[Publications] Eiji Tanaka: "Effect of Hepatitis G Virus infection on chronic hepatitis C" Annals of Internal Medicine. 125・9. 740-743 (1996)
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[Publications] Eiji Tanaka: "Serum levels of hepatitis C Virus core profein in patients with chronic hepatitis C treated with interferon Alfa" Hepatology. 23・6. 1330-1333 (1996)