1995 Fiscal Year Annual Research Report
胃液および粘膜内ヘリコバクターピロリの定量的測定法の確立と各種消化器疾患との関連
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06670535
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Research Institution | HAMAMATSU UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
金子 栄藏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10010414)
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Keywords | ヘリコパクターピロリ / 競合的PCR / 消化性潰瘍 |
Research Abstract |
ヘリコバクター・ピロリ(以下Hp)のcompetitive PCR法(以下c-PCR法)を応用した定量的検出方法を開発し、その有用性を検討した。Hpのウレアーゼの構造遺伝子のうち132bp部分を増幅するprimerによって増幅される66bpのDNA(competitor)を合成し、c-PCR施行時の定量の基準とした。そして、胃粘液中および胃粘膜組織よりDNAを抽出し、その中のHpのDNAをc-PCRによって定量化する事によりHpの定量的検出に成功した。胃粘液中、及び胃粘膜組織中のHpの菌量が多いほど培養、ウレアーゼテスト、組織鏡検でのHpの陽性率は増加する事が明らかになり、さらに、胃粘液中のHp数と^<13>C尿素呼気試験の結果は有意に相関した。さらに、検討する事により、本c-PCR法によるHpの定量的検出法は、従来のPCR法によるHpの検出の際の偽陰性・偽陽性を軽減でき、きわめて有用度の高い検査法であることが明らかになった。消化性潰瘍患者において、Hpの除菌治療を行い、菌量の推移を本方法で検討し、他の検査方法と比較した。そして、プロトンポンプインヒビター単剤では、一時的に培養、ウレアーゼテストの陽性率を低下させ、胃液中のアンモニア濃度を低下しえても、胃粘液中に相当数のHpが存在しており、菌量に有意な減少が認められないことが明らかになった。すなわち、プロトンポンプインヒビターではHpのウレアーゼ活性は低下させうるが、除菌は不可能であるということが明らかになった。また、Hpの胃内分布は、体部胃潰瘍では潰瘍周囲及び胃体部にHpの菌量が多いのに対し、前庭部潰瘍や胃角部潰瘍ではHpは前庭部に多く感染していることが明らかになり、潰瘍の部位とHpの感染範囲に関連性のあることが明らかになった。また、血清pepsinogen I/II比がHpの除菌によって変化することが知られているが、その変化率を検討することによって、Hpの除菌診断が内視鏡検査を使用せずに行えるようになった。今後は、本c-PCR法による正しいHpの存在診断のもとに、Hpと胃十二指腸疾患との関連をより明らかにしていく。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Furuta T: "Helicoba cfer pylori-preseut studus in Japan and a newer diagnasfic method applying compatitive PCR" Chinese J. Gastroeufeol. Hepafol.5(in press). (1996)
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[Publications] 古田隆久: "血清ペプシトゲン・ガストリン値の変化からみたHelico Eacter pylorin除菌判定" prog. in Med. 15. 1862-1868 (1995)
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[Publications] Ito G: "Faefars affecfing quality of ulcr hasling af ter Lomsoproyle trcatment" Jcein Gartroeuferal. 20(Suppl2). 62-66 (1995)
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[Publications] Furuta T: "Effects of Lansoprazole with or without amoxicillin on ulor healing:relation to eredication" Jcein Gartroeuferal. 20(Suppl2). 107-111 (1995)