1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670536
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
花井 洋行 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (80208553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 榮藏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10010414)
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Keywords | バソプレシン / 大腸 / V1レセプター / 細胞内カルシウム / ナトリウム吸収 / カリウム分泌 / クロライド分泌 |
Research Abstract |
バソプレシンの腸管における水・電解質のホメオスターシスの維持への関与を明らかにするため、大腸粘膜イオン輸送に対するバソプレシンの作用を電気生理学的に検討し、その細胞内情報伝達機構について検討した。 モルモット遠位大腸粘膜をユッシング型のチェンバーを用いて、大腸粘膜における能動輸送へのバソプレシンの効果を検討した。漿膜側ブメタニド存在下(カリウムとクロライド分泌抑制下)で電流成分(アミロリド感受性起電性ナトリウムの吸収)はバソプレシンにより濃度依存的に抑制され、起電性ナトリウム吸収を阻害すると考えられた。次にあらかじめ粘膜側アミロリド存在下(起電性ナトリウム吸収を阻害下)では、バソプレシン比較的低濃度で短絡電流をマイナス側へ、高濃度では短絡電流をプラス側へ変化させた。マイナス側への電流変化は粘膜側高カリウム液で消失し、カリウムの分泌によると考えられた。プラス側への変化はクロライドチャンネルブロッカーにより抑制され、クロライドの分泌と考えられた。これらの変化はすべてバソプレシンV_1レセプター拮抗剤で抑制された。 バソプレシンと細胞内カルシウムの関わりを明らかにするために陰窩細胞と表層上皮細胞においてバソプレシンが細胞内カルシウム濃度を変化させうるか、カルシウム感受性蛍光色素を用いて検討した。バソプレシンにより細胞内カルシウム濃度は濃度依存的に上昇がみられ、このカルシウム濃度変化はバソプレシンV_1レセプター拮抗剤で抑制された。 バソプレシンはモルモット遠位大腸粘膜においてV_1レセプターを介してナトリウム吸収抑制、カリウムとクロライドの分泌刺激を起こすと考えられた。バソプレシンのV_1レセプター刺激により大腸粘膜上皮細胞の細胞内カルシウム濃度は上昇し、バソプレシンは細胞内カルシウムイオンをセカンドメッセンジャーとして大腸粘膜イオン輸送へ作用していると考えられた。
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[Publications] 佐藤嘉彦、花井洋行、金子榮藏他: "モルモット大腸粘膜イオン輸送に対するバソプレシンの作用" 消化と吸収. 18. 23-25 (1995)
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[Publications] Takayanagi S.,Hanai H.,Kaneko E.et.al.: "Serotonin Uptake and Its Modulation in Rat Jejunal Enterocyte Preparation" Journal of Pharmacology & Experimetal Therapeutics. 272. 1151-1159 (1995)
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[Publications] 花井洋行、金子榮藏: "コレラ" 日本臨床領域別症候群シリーズ 消化管症候群(下). 6. 206-208 (1994)
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[Publications] 伊熊睦博、花井洋行、金子榮藏他: "加齢ラットにおける小腸吸収上皮細胞内pHの調節能" 消化と吸収. 17. 102-105 (1994)