1995 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルス感染肝細胞におけるアポトーシス関連遺伝子誘導機序の解析
Project/Area Number |
06670544
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
房本 英之 大阪大学, 医学部, 助教授 (90124776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田 英治 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
佐々木 裕 大阪大学, 医学部, 助手 (70235282)
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部, 助手 (70214286)
林 紀夫 大阪大学, 医学部, 講師 (00144478)
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Keywords | Fas抗原 / ヒトFasリガンド / アポトーシス / C型慢性肝炎 / C型肝炎ウイルス粒子 / HLA抗原 / 細胞障害性T細胞 / NK細胞 |
Research Abstract |
1) C型肝炎患者血液中のHCV粒子の浮遊密度の解析により、HCV粒子は低密度、高感染性のvirionと、高密度、低感染性の免疫複合体の形態で存在することが判明した。肝炎の病態と両粒子の血中での量比との関連を検討すると、肝障害の進展度、肝炎の鎮静化と免疫複合体の増加が関連していた。HCVに対する液性免疫応答のみでは、HCVは排除されず肝障害が持続することが示された。 2) 高ウイルス量にもかかわらず肝障害の殆ど認められないHCVキャリア例でHLA遺伝子多型を検討すると、特定のHLA-DR型(DR13)が高頻度に認められた。また抗原提示の副シグナルであるB7の発現をC型肝炎組織で検討すると、壊死領域の近傍にB7発現細胞は分布し、炎症の程度とB7発現の程度は相関していた。ウイルス抗原のT細胞への提示、T細胞の活性化が肝炎の発症、進展に重要であることが示された。 3) C型肝炎肝組織におけるFas抗原の発現は炎症の程度と相関し、HCV core抗原陽性細胞はFas抗原発現細胞とほぼ同じ分布を示した。これより、HCV感染がFas抗原発現のtriggerとなり、肝炎の程度にFas抗原の発現が関与することが示された。B型肝炎肝組織でも同様に炎症の程度とFas抗原の発現は相関するが、HBV core発現細胞とFas抗原発現細胞の分布は一致せず、B型肝炎においてはサイトカインなどHBV感染以外の因子もFas抗原の発現に関与していると考えられた。 4) ラットFas-リガンドのcDNAを元にプライマーを設定し、1.9kbからなるヒトFas-リガンドcDNAをクローニングした。その結果、Fas-リガンドは281アミノ酸からなり、ラット(278アミノ酸)、マウス(279アミノ酸)のそれよりも長く、アミノ酸レベルでの相同性はそれぞれ76%、77%であった。 5) C型肝炎患者の肝生検標本より浸潤リンパ球を分離し、ヒトFas-リガンドの発現をPCR法にて検出した。すると浸潤リンパ球に陽性のシグナルを認め、同時に検討した肝組織では認めなかった。これより浸潤リンパ球に特異的にFas-リガンドmRNAが発現していることが示された。 6) ヒトFas-リガンドの細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体を樹立した。これを用いて肝浸潤リンパ球、末梢血リンパ球でのFas-リガンドの発現を蛋白レベルで検討した。肝浸潤リンパ球ではFas-リガンドの発現が末梢血リンパ球に比べて増強しており、そのphenotypeはCD8陽性、またはCD16陽性細胞が主であった。したがって肝細胞障害のEffectorとしてFas-リガンド陽性のCD8陽性CTL (Cytotoxic T Lymphocyte)またはCD16陽性NK (Natural Killer)細胞が働いていることが明かとなった。
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[Publications] Kanto T,et al.: "Density analysis of hepatitis C virus particle population in the circulation of infected hosts : Implications for virus neutralization or persistence." J Hepatol. 22. 440-448 (1995)
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[Publications] Kanto T,et al.: "Serial density analysis of hepatitis C virus particle populations in chronic hepatitis C patients treated with interferon-a." J Med Virol. 46. 230-237 (1995)
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[Publications] Yuki N,et al.: "The significance of IgM antibody response to hepatitis C virus core protein in patients with chronic hepatitis C." Hepatology. 22. 402-406 (1995)
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[Publications] Naito M,et al.: "Hepatitis C viral quasispecies in hepatitis C virus carriers with normal liver enzymes and patients with type C chronic liver lisease." Hepatology. 22. 407-412 (1995)
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[Publications] Kawanishi Y,et al.: "Tumor necrosis factor-a and interferon-gamma inhibit synergistioally viral replication in hepatitis B virus-replicating cells." J Med Virol. 47. 272-277 (1995)
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[Publications] Takehara T,et al.: "Expression of the hepatitis C virus genome in rat liver after cationic liposome-mediated in vivo gene transfer." Hepatology. 21. 746-751 (1995)