1996 Fiscal Year Annual Research Report
慢性肝疾患における細胞外マトリックス分解酵素阻害因子に関する研究
Project/Area Number |
06670553
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村脇 義和 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (90144659)
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Keywords | 肝疾患 / TIMP |
Research Abstract |
Tissue inhibitor of metalloproteinases(TIMP)は、matrix metalloproteinase(MMP)の特異的阻害因子であり、組織中でのMMPの生物学的活性を規制する重要な因子である。最近我々は慢性肝疾患で肝病変の進行とともに血清中のTIMP-1濃度が上昇することを明らかにした。本研究では慢性肝疾患での肝組織中TIMP-1量、その局在、存在様式を検討するとともに、血清TIMP-1が肝組織中の変動を反映しているかについて検討した。更に、生成促進因子であるTGF-β1との関連についても検討した。肝TIMP-1量は対照群で19.2±8.3ng/mg蛋白であり、慢性非活動性肝炎では変わらなかったが、慢性活動性肝炎(CAH)2Aでは42.4±11.8、CAH2Bでは55.6±20.4、肝硬変では78.9±5.4と有意に増加していた。肝組織所見と比較検討すると、病変肝での壊死炎症および線維化の進行とともに肝TIMP-1量が増加することが示された。免疫組織染色によりTIMP-1の肝組織内局在を観察すると、硬変肝では肝実質細胞とともに、線維性隔壁の結合織および胆管細胞が染色された。肝組織と血清で同時にTIMP-1を測定すると、両者は有意の正の相関関係を示し、血清TIMP-1が肝TIMP-1の変動を正確に反映することが示された。ゲル瀘過では肝組織および血清中ともTIMP-1の大部分は分子量40kDa前後に抽出され、MMPとの結合型で存在していることが示された。TGF-β1との関連を検討すると、血漿TGF-β1と血漿TIMP-1との間に有意の相関関係が認められた。したがって、慢性活動性肝疾患ではTGF-β1などのサイトカインの増加により、肝組織でのTIMP-1の生成分泌が増加し、細胞外マトリックスの分解が障害されるため、線維肝へと進展することが推測された。なお、これら病態の把握に血清TIMP-1が有用であることが示された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yoshikazu Murawaki: "Tissue inhibitor of metalloproteinase-1 in the liver of patieats with chronic liver disease." Journal of Hepatology. 26(in press). (1997)
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[Publications] Yoshikazu Murawaki: "Characterization of tissue inhibitor of metalloproteinases-1 in plasma from patients with chronic liver disease." Clinica Chimica Acta. 254. 77-83 (1996)
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[Publications] Yoshikazu Murawaki: "Seram markers for fibrosis and plasma transforming growth factor-β1 in patients with hepatocellular carcinoma in comparison with patients with liver cinhisis." Journal of Gastroenterology and Hepatology. 11. 443-450 (1996)
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[Publications] 村脇 義和: "肝線維化と血漿TGF-β1" 薬理と治療. 24. S111-S116 (1996)
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[Publications] Yoshikazu Murawaki: "Serum markers for connective tissue turnover in patients with chronic hepatitis B and chronic hepatitis C:a comparative analysis." Journal of Hepatology. 23. 145-152 (1995)
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[Publications] 村脇 義和: "肝細胞癌におけるコラーゲン代謝" 薬理と治療. 23. S785-S793 (1995)