1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝線維化過程におけるコラーゲン代謝の合成と分解機序に関する遺伝子発現と生体内調節
Project/Area Number |
06670559
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Research Institution | University of Tokushima |
Principal Investigator |
清水 一郎 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (10178965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 進 徳島大学, 医学部, 教授 (70093838)
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Keywords | コラーゲン / 肝線維化 / ジメチルニトロサミン / 遺伝子発現 / コラゲナーゼ / コラゲナーゼインヒビター / 豚血清 |
Research Abstract |
肝線維化過程における肝可溶性コラーゲン、I型・III型コラーゲン(proα_1(I)・proα_1(III))、コラゲナーゼ(MMP-1)、コラゲナーゼインヒビター(TIMP-1)の活性動態を病態の違う2種類の線維肝モデル、すなわちジメチルニトロサミン(DMN)線維肝モデルおよび豚血清(PS)線維肝モデルを用いて検討し、これまでに次のような知見を得た。 (1)ラットにDMNを単回投与すると、2週以降に中心静脈、門脈域を中心に明らかな線維肝が出現し、4カ月にわたって存続した。一方、ラットにPSを週2回継続投与すると、6週後より肝線維化が出現し、10週後には線維隔壁を伴う線維肝が出現した。 (2)肝組織中のコラーゲンをホモジナイザー、凍結・融解、ソニケイタ-の3段階操作で可溶化し、短時間で直接比色定量することができた。 (3)DMN投与2週後の肝コラーゲン量は、DMN用量依存性に増加し、明らかな線維肝のみられるDMN用量40mg/kgでは、対照肝の約2倍に増加した。一方、PS投与10週後の肝コラーゲン量も対照肝の約2.5倍に増加した。 (4)免疫組織化学および肝β-アクチンの遺伝子発現を内部標準としたコラーゲン代謝関連遺伝子発現の半定量的検討で、DMN投与3日まではI型コラーゲンの蛋白・遺伝子発現が共にIII型コラーゲンより強く、9日以降はIII型コラーゲンの蛋白・遺伝子発現が優位となった。また、MMP-1遺伝子発現は、3日目より2週目まで増強した。さらに、DMN投与2週後においては、III型コラーゲンの蛋白・遺伝子発現がDMN用量依存性に増加し、MMP-1およびTIMP-1遺伝子発現はDMN低用量30mg/kgで頂値を示した。一方、PS投与10週後においては、I型コラーゲンの蛋白・遺伝子発現がIII型コラーゲンより優位であった。 以上より、明らかな線維肝の出現前より、コラーゲン代謝の合成・分解系が共に亢進され、肝線維化進展と病態の違いに応じてI型またはIII型コラーゲン合成系が優位になることが示唆された。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Shimizu I: "Radioimmunoreactive plasma bradykinin levels and histological changes during the course of caerulein-induced pancreatitis in rats." Pancreas. 8(2). 220-225 (1993)
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[Publications] Shimizu I: "Kallikrein-kinin system during the cold pressor test in cirrhotic rats." Int. Hepatol. Commun.2(3). 170-174 (1994)
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[Publications] 堀江貴浩: "肝硬変患者腹水中の蛋白合成刺激活性." 医学と薬学. 31(3). 643-645 (1994)
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[Publications] 柴昌子: "ジメチルニトロサミン線維肝モデルの確立とコラーゲン代謝の検討." 医学と薬学. 33(3). 111-113 (1995)
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[Publications] 柴昌子: "ジメチルニトロサミン線維肝と肝硬変患者における寒冷疼痛負荷試験に対するブラデイキニン反応." 消化管ホルモン(X III)(消化管ホルモン研究会編)医学図書出版社、東京. 259-264 (1995)
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[Publications] 安田貢: "コラーゲン代謝動態における女性ホルモンの役割に関する検討" 医学と薬学. 35(2). 108-110 (1996)
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[Publications] Yasuda M: "Estradiol suppresses liver fibrogensis" Gut. 37(Suppl2). A78- (1995)
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[Publications] Shiba M: "Collagen accumulation before histological changes in hepatic fibrosis" Gut. 37(Suppl2). A78- (1995)
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[Publications] Janosi L: "Ribosome recycling factor (ribosome releasing factor) is essential for bacterial growth" Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 91(10). 4249-4253 (1994)
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[Publications] 清水一郎: "ジメチルニトロサミン線維肝におけるコラーゲン代謝の検討" 細胞内遺伝子導入と消化器疾患 -第2回消化器分子生物学研究会- (小俣政男監修)、国際医書出版、東京. 143-145 (1995)