1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞増殖・癌化に関与する新しいヒト遺伝子の単離と劇症肝炎の遺伝子治療の試み
Project/Area Number |
06670562
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
西原 利治 高知医科大学, 医学部, 講師 (60145125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 尚弘 高知医科大学, 医学部, 助手シュ (80127943)
吾妻 健 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (40117031)
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Keywords | 急性肝不全 / 劇症肝炎 / 肝細胞癌 |
Research Abstract |
我々は、重篤な肝細胞ミトコンドリアの機能不全が劇症肝炎患者では存在することや、AKBR低値の遷延する症例では劇症化率が極めて高く劇症肝炎の予測に役立つことを明らかにした(Liver14:85-89,1994)。また、肝細胞の微細脂肪変性を特徴とする急性肝不全は全身の急性ミトコンドリア不全が成因であると考えられているので、free radicalをその病因と想定した動物モデルも作成した(Laboratory Investigation 70:517-524,1994)。欧米では劇症肝炎に対して肝移植が最も有効であるとのコンセンサスがほぼ形成されている。しかし、本邦では未だ肝移植を劇症肝炎治療の選択肢に上げ得る状況にはない。そこで我々は劇症肝炎の治療に用いられる血漿交換治療法につき、肝臓エネルギーレベルの保持ないし回復と言う観点からその功罪につき検討を加え(J Hepatology 20:617-622,1994)、劇症肝炎の予後の改善には個々の肝細胞機能の他に肝移植あるいは肝細胞の再生促進による肝細胞量の確保が重要であることを痛感した。そこで肝細胞内において脂質のβ酸化を促進することにより、肝細胞が利用しうるエネルギー供給量の増加をもたらし肝細胞増殖を促す薬剤に着目し、この薬剤に対するレセプターを同定した。ついでこのcDNAをレトロウイルスベクターに組み込み、劇症肝炎モデルマウスに経静脈的に投与することにより肝細胞選択的に発現させることに成功し発現率も12%から5%に改善されたが、明らかな予後の改善効果を証明するには未だ不十分であり、発現率のさらなる改善の努力を続けている。発癌との関連では、このレセプターに対する抗体を用いて健常者、慢性肝炎、肝硬変患者につき、肝内における分布を検討したが、病勢の進展に伴い小葉内の分布が不均一となり発癌のfocus形成と関連する可能性を示唆する所見を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Saibara et al: "The arterial blood ketone body ratio as a possible marker of the…" Liver. 14. 85-89 (1994)
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[Publications] T.Saibara et al.: "Plasma exchange and the arterial blood ketone body ratio in patients‥" Journal of Hepatology. 20. 617-622 (1994)
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[Publications] T.Saibara et al.: "Acute hepatic failure with swollen mitochondria and…" Laboratory Investigation. 70. 517-524 (1994)
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[Publications] H.Enzan: "Segueutial chomges of human Ito cells and their relation to…" Virchow Archives. (1995)
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[Publications] H.Yamasaki: "The arterial ketone body ratio and serum α-fetoprotein…" Liver. (1995)