1995 Fiscal Year Annual Research Report
新たに見出された先天性アルコール代謝不全ラットにおける関連酸素遺伝子異常の解析
Project/Area Number |
06670568
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高後 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10133183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 稔 旭川医科大学, 医学部, 助手 (60185650)
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20244345)
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Keywords | LECラット / LEAラット / class I ADH遺伝 / ALDH2遺伝子 |
Research Abstract |
Long Evans Cinnamon (LEC)ラットは,肝炎・肝癌を自然発症し,その発症には銅および鉄イオンの肝への異常蓄積が関与することが規定されている。われわれは,LECラットおよび同系ラットで肝病変を全く発症しないLong Evans Agouti (LEA)ラットでは,銅および鉄代謝のみならず,肝アルコール脱水素酵素(ADH)・アルデヒド脱水素酵素(ALDH)などの先天的なエタノール代謝異常が存在すること,さらに遺伝子レベルでALDH2遺伝子のコドン67に点突然変異があることを明らかにした。本研究ではアルコール代謝に関わる酵素の遺伝子異常を更に詳細に検討した。すなわち,6週齢のLECラットと対照として用いたWistarラット肝よりproteinase K/phenol法で高分子のDNAを調整し,class I ADH遺伝子第1イントロン内のTG繰り返し配列部位を含む領域をPCR法にて増幅した。得られたPCR産物を6%アガロースゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイド染色し、バンドの易動度を比較検討した。またエタノール投与前および7日後に屠殺したLECラット肝よりmicrosomeを調整し,SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後,PVDF膜に転写し,抗cytochrome P450 2E1モノクローナル抗体を用いたWestern blot法で検討した。TG繰返し領域のPCR産物はWistarラット3匹ではすべて80bp長であるのに対し,LECラット8匹ではすべて98bp長であり,LECラットに18bpのinsertionがあると考えられた。また,P450 2E1の蛋白発現量はエタノール投与前に比べて投与後で約8倍に増加しており、エタノールによりP450 2E1が誘導された。以上のごとく,LECラットではALDH2遺伝子だけでなく,ADH2遺伝子にも異常が見出された。
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