1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670573
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
加嶋 敬 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30079818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 慶正 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70185792)
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Keywords | 実験的急性膵炎 / 細胞内分画法 / カテプシンB / CCK受容体拮抗剤 / CR1505 / CCK |
Research Abstract |
TartakoffとJamiesonらの細胞内分画法を用いて膵炎の発症とカテプシンBのredistribution、トリプシンの活性化との関連およびCCK受容体拮抗剤CR1505の影響を検討し、実験的急性膵炎の発症早期におけるCCKの関与を検討した。Wistar雄性ラットを一晩絶食後、対照群、セルレイン(Cn)膵炎群、アルギニン(Ag)膵炎群、Cn膵炎+CR1505群、Ag膵炎+CR1505群に分けた。Cn浮腫性膵炎はCn:20μg/kg体重を1時間毎に計4回皮下投与し、Ag壊死性膵炎はL-Ag:450mg/100g体重を単回腹腔内投与して作成した。CR1505(50mg/kg体重)をCn膵炎には前投与し、Ag膵炎にはAg投与30分前と4.5後の計2回投与した。Cn膵炎はCn初回投与6時間後に、Ag膵炎は9時間後に屠殺した。膵湿重量、血清アミラーゼ、膵内トリプシン/トリプシノーゲン比、およびアミラーゼ、カテプシンBの膵腺房細胞内分布を比較した。Cn膵炎、Ag膵炎ともにカテプシンBのzymogen分画へのredistributionはみられたが、膵中のトリプシン/トリプシノーゲン比はAg膵炎で有意に上昇したが、Cn膵炎では変化がなかった。CR1505投与は、両膵炎でカテプシンBのredistributionを改善したが、膵浮腫、高アミラーゼ血症はCn膵炎で有意に改善されたが、Ag膵炎では変化はなかった。異なる2つの膵炎モデルの発症早期においてカテプシンBのredistributionが共通して認められたが、膵内トリプシンの活性化に大きな相違が認められた。CR1505は膵炎早期において膵防御効果を示したが、その機序はカテプシンBのredistributionとそれに続くとされるトリプシンの活性化を抑止したものではなく、他の機序が示唆された。
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[Publications] 井本 雅美: "ラット正常膵の成長および急性膵炎後の膵再生におよぼすcholeupsto Kiniu受容体拮抗剤KSG-504の影響" 京府医大誌. 105. 205-215 (1996)
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[Publications] 加嶋 敬: "薬物による膵病変とは;病態と治療,予後に関する諸問題" 日本内科学会雑誌. 84. 226-229 (1995)
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[Publications] 細田 正則: "膵外分泌不全における脂肪消化吸収障害に対するbacterial Lipaseの有用性の検討" 消化と吸収. 18. 70-73 (1995)
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[Publications] Masato Kato: "Mechanisms for pauveatic hypectrophy induced by long-term administration of bethanechol." Euiropian Journal of Pharmacology. 292. 47-55 (1994)
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[Publications] 加嶋 敬: "慢性膵炎とCCK受容体拮抗物質-実験モデルでの検討-" 胆と膵. 15. 325-328 (1994)
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[Publications] 片岡 慶正: "急性膵炎の重症化因子としてのコレシストキニン(CCK)の役割" 胆と膵. 14. 853-859 (1993)
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[Publications] 橘 逸勢: "21世紀を目指し羽ばたく消化器病学" 日本医学館,原田 尚編集,東京, 4 (1993)
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[Publications] 阪上 順一: "(財)膵臓学研究財団第1回・報告書" 医学図書出版,東京, 6 (1995)