1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝細胞癌の増殖因子,癌遺伝子,癌抑制遺伝子の解析とその臨床応用の可能性
Project/Area Number |
06670576
|
Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
関 守一 大阪市立大学, 医学部, 講師 (50145778)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 浩樹 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40271184)
|
Keywords | ヒト肝細胞癌 / apoptosis / tyrosine kinase / transforming growth factor-α / epidermal growth factor receptor |
Research Abstract |
当教室にて樹立したヒト肝癌細胞株(OCUH-16, OCUH-A1)に対し、抗ヒトtransforming growth factor-α (TGF-α)の中和抗体を培養3日目の肝癌細胞に添加すると、24時間後にOCUH-16細胞では86%の細胞がapoptosisに陥り(IgGを添加したcontrolでは21%)、OCUH-A1細胞では44%(controlでは31%)の細胞がapoptosis像を示した。Apoptosisの確認は、光顕/電顕及びDNA ladderにて行い、核及び細胞質の凝集、核の断片化、chromatinの巨大凝集塊の形成、細胞質のprotrusion等が観察されると共に、約180bpの整数倍のDNA ladderが証明された。TGF-αの測定は、spent mediumで検出感度以下であった(Oncogene Science社製のELSA kit)が、肝癌細胞溶解液ではwestern blottingにて20, 35,及び70kDaのbandsが認められ、20kDaのそれがTGF-αに相応するものと考えられた。TGF-αのreceptorと考えられているEGF receptorの存在に関しては、免疫細胞化学的に肝癌細胞膜に局在することを示した。また、TGF-αの中和抗体(5.0μg/ml)を培養0日目のOCUH-16細胞に添加すると、OCUH-16細胞は1日目14.0±5.3 (SD), 2日目20.3±13.4, 5日目31.6±20.9, 7日目44.5±18.0に対し、IgG添加のcontrol群では、各々18.1±7.9, 40.3±22.3, 118.7±50.7, 192.2±49.4と中和抗体添加群で有意に増殖が抑制された(Virchows Archiv 430 : 29-35, 1997)。次いで、抗TGF-α抗体(5.0μg/ml)をOCUH-16細胞に添加し、6時間後、24時間後のTGF-αのmessenger RNAをRT-PCR法を用いて検討すると、6時間後より24時間後で増加している所見が得れた。また、同時に行ったtyrosine kinase (whole)のwestern blottingの検討でも、apoptosisの進行につれ増加しているのが確認された。これらのことより、肝癌細胞の増殖因子欠乏により誘導されるapoptosisの形成にtyrosine kinaseが関与していることが推定された。現在、receptor関連あるいは細胞質関連のtyrosine kinaseのどちらがより深く関与しているのか検討を行っている。またtyrosine kinaseのinhibitorを添加した際にapoptosisが誘導されるのか否かも併せ検討しているところである。成績が整理され次第、mitogen activating protein kinase (MAPK)の量的変動の結果と併せ、投稿するつもりである。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Shuichi Seki, et al: "Induction of apoptosis in a human hepatocellular carcinoma cell line by a neutralizing antibody to transforming growth factor-α" Virchows Archiv. 430. 29-35 (1997)
-
[Publications] Shuichi Seki, et al: "Induction of apoptosis by deprivation of transforming growth factor-α in newly established human hepatocellular carcinoma cell lines" Gastroenterology. 108. 1167A (1995)