1995 Fiscal Year Annual Research Report
肝性昏睡の発生機序におけるコリン作動性神経伝達物質の意義に関する実験的検討
Project/Area Number |
06670579
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 一幸 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (00137499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 章信 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50177424)
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Keywords | 肝性昏睡 / 慢性肝不全 / アセチルコリン / アンモニア |
Research Abstract |
実験方法: ラットに門脈大循環端側吻合(PCA)を行いその4週後に酢酸アンモニウムを満たしたAlzetポンプを腹腔内に埋め込み、先端を盲腸内に挿入固定し、8日間にわたって酢酸アンモニウムを投与した(1日当たり酢酸アンモニウム2.65Mol)。実験開始2日前に脳の線状体にプローブを挿入し、手術侵襲の取れた2日後にマイクロダイアリーシス法を用いin vivoの状態で4時間リンゲル液(Na:147mM, K:4mM,Cl:155.6mM,Ca:2.3mM)による灌流を行い、灌流液を回収しChとACh濃度を測定した。また、実験終了時に開腹し、大動脈より採血し、血液アンモニアとCh濃度を測定した。 結果: 1) PCAラットにおける血液アンモニア(B-NH_3)およびコリン(Ch)濃度 PCAラット(n=6)のB-NH_3濃度は91.6±17.3μg/dl (Mean±SE)であり、対照(正常ラットに偽手術を行い酢酸アンモニウムの代わりに生理的食塩水を投与したもの)ラット(n=5)の17.6±1.2μg/dlに比し約5倍の増加を認めた(P<0.05)。また、血中Ch濃度はPCAラットでは1.68±0.11 (10^<-8>Mol/l)、対照ラット1.32±0.13であり、PCAラットでやや増加傾向を示したが有意差は認めなかった。 2) 脳線状体における灌流液中のCh、ACh濃度 Ch、ACh濃度は、PCAラットでは各々0.43±0.05 (10^<-8>Mol/l;Mean±SE)、0.16±0.02 (10^<-8>Mol/l)であり、対照ラット(各々0.66±0.08、0.11±0.01)に比しCh濃度は有意の減少、ACh濃度は有意の増加を認めた。
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[Publications] Masaaki Iwai, et al.: "Decreased brain concentrations of acetylcholine in mice with thio-acetamide-induced acute liver failure" Int. Hepatol. Comm.3. 222-226 (1995)
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[Publications] 岩井正勝,他: "チオアセトアミド急性肝不全マウスにおける脳内アセチルコリン,モノアミン代謝" 肝臓. 36. 199-207 (1995)