1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体顕微鏡による肺微小循環レベルにおける白血球動態の観察
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06670603
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 邦彦 千葉大学, 医学部, 助手 (00204462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 修 千葉大学, 医学部, 助手 (60177045)
栗山 喬之 千葉大学, 医学部, 教授 (20009723)
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Keywords | 肺微小循環 / 生体顕微鏡 / 摘出分離潅流肺 / 肺毛細血管 / 肺循環 / 白血球 / 好中球 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肺微小循環レベルにおける好中球の動態を客観的に数値化して評価することにより、好中球の肺循環での停滞を調節する機序を解明することにある。前年度までの研究成績から、生理学的条件下において好中球が停滞を起こす部位は、肺小静脈ではなく毛細血管レベルがほとんどであることが観察された。しかしながら、本研究の一貫として、好中球の停滞数をコンピューターにより連続的に算出することを目指していたが、ビデオ画像上で好中球が毛細血管の分岐部に停滞した場合、コンピューターが数個の断片として認識してしまう誤差が生じることが判明した。 そこで今年度はこの過大評価を改善するため、胸膜直下の観察視野倍率を上げ、まず赤血球の流れを詳細に観察することにより、すべての毛細血管セグメント並びに分岐点を正確にトレースした上で、この視野内での好中球の動態を生体顕微鏡下に観察した。 今回の観察視野は肺胞表面2‐3個に限られるため、好中球の出現頻度が少ないため観察時間が長くなったが、1‐1.5時間の観察中、肺循環動態は安定しており、加えて毛細血管の血流は良好に保たれていた。今年度の観察成績により好中球の停滞部位は、そのほとんどが毛細血管の分岐部であり、好中球が変形を起こして移動再開後は、分岐部間の毛細血管セグメントに再度停滞をおこすことはなく、多くは観察視野内の毛細血管網を通過していった。このことから、生理学的条件下での好中球の停滞は、好中球の直径と毛細血管、特に分岐部より下流側の毛細血管内径との関係といった、いわゆる物理学的要因により主として規定されている可能性が示唆された。また、好中球の停滞により赤血球の毛細血管レベルでの流れも変化することから、好中球の停滞が毛細血管レベルでの血流分布を調節し、肺胞表面に比較的均一に血液が流れるように調節されている可能性も考えられ、今後の研究課題としても興味あるテーマと思われた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Osamu Okada: "Temporal capilary perfusion patherns in single alveolar walls of intact dogs" J. Appl. Physiol.76. 380-386 (1994)
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[Publications] Osamu Okada: "Stability of alveolar capillary opening pressure" J. Appl. Physio. 77. 1630-1637 (1994)