1994 Fiscal Year Annual Research Report
肺線維化病変成立過程に及ぼすサイトカイン・成長因子の影響に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
06670614
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲水 惇 広島大学, 医学部, 助教授 (00112186)
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Keywords | 間質性肺疾患 / 肺胞マクロファージ / RT-PCR / サイトカイン / 肺線維症 / サルコイドーシス |
Research Abstract |
間質性肺疾患の病因・病態を解明する目的で、ヒト肺線維症のモデルであるブレオマイシン投与による肺線維症マウスにおける肺胞マクロファージのサイトカイン発現、および、サルコイドーシス患者の気管支肺胞洗浄液(BAL)細胞におけるサイトカインおよび未知遺伝子の発現を、Reverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法およびDifferential display(DD)法を用いて検討した。 ブレオマイシンを10日間腹腔内投与をおこなったマウス30匹と生食を投与したコントロールマウス30匹の比較検討により、ブレオマイシン肺線維症マウスでは肺胞マクロファージにおけるPDGF-A,IGF-Iの発現を有意に増加しており、これらのサイトカインが、肺線維化過程において重要な役割を果たしている可能性が示唆された(投稿中)。 サイコイドーシス患者19例と健常者8例のBAL細胞におけるサイトカインの発現をRT-PCRで比較検討した結果、TNF-α、PDGF-B、GM-CSF、IL-6の発現量がサイコイドーシス患者で有意に増加しており、またこれらサイトカインの発現量には正の相関が見られ、病変局所で活性化された肺胞マクロファージが一連の炎症過程の中であるモノカインを産生し、これに呼応して他のサイトカインの発現が誘導され、肺病変の進行がおこる可能性が示された(投稿中)。 さらに、サルコイドーシス患者および他の間質性肺疾患の肺胞マクロファージからmRNAを抽出しDD法を行った結果、サイコイドーシス患者に特異的に発現増加している遺伝子の断片が得られた。そのシークエンスをDNAデータベースで検索したが有意なホモロジーはなく、未知遺伝子と考えられた(投稿準備中)。
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[Publications] 石岡伸一: "急性間質性肺炎(Acute interstitial pneumoonia:AIP)の一例" 現代医療. 26. 65-69 (1994)
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[Publications] 安松義晃: "気管支喘息におけるPeak expiratory flow rate(PEFR)を中心とした薬剤自己管理法の有用性の検討" アレルギーの臨床. 14. 46-48 (1994)
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[Publications] 安松義晃: "毛細管全血,静脈全血および静脈血血漿中テオフィリン濃度の比較" アレルギーの臨床. 14. 48-50 (1994)
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[Publications] Yoshifumi shirotani: "Alteration in length of telomeric repeats in lung cancer" LUNG CANCER. 11. 29-41 (1994)
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[Publications] 前田晃宏: "大久野島毒ガス障害者における肺癌剖検例の検討・組織型と発生部位の推移について" 肺癌. 525-530 (1994)
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[Publications] Keiko Hiyama: "Alteration in telomeric repeat length in lung cancer are associated with loss of heterozygosity in p53 and Rb" Oncogene. (in perss). (1995)
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[Publications] 稲水惇: "びまん性肺陰影の診断と治療" 新興医学出版社, 249 (1994)
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[Publications] 稲水惇: "KEY WORD 1994-'95 呼吸器系" 先端医学社, 193 (1994)