1994 Fiscal Year Annual Research Report
N-ニトロソジエチルアミン誘発ラット肺腫瘍の発生母細胞に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
06670620
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 修一 九州大学, 医学部, 助手 (00243931)
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Keywords | N-nitrosodiethylamine / 肺腫瘍 / ラット / CC10 / サーファクタント・アポ蛋白 |
Research Abstract |
N-nitrosodiethylamine(DEN)誘発ラット肺腫瘍の作成 以下の3群について肺腫瘍形成の実験を行った。 ・Case1:コントロール群:DEN溶解液のみ、2回/週、皮下注射を行う。 ・Case2:DEN単独投与群:1/10LD50DEN(約178mg/kg)、2回/週、皮下注射を行う。 ・Case3:DEN+PIP投与群:DEN投与二時間前にPiperonylbutoxide(PIP),400mg/kg、皮下注射 PIPはクララ細胞内チトクロームP-450の阻害物質として知られ、その造腫瘍抑制効果より腫瘍細胞とクララ細胞との関係を機能的にも関連ずけるものである。 以上の各群につき、4回投与後より今回32週後に屠殺を行い検索を行った。コントロール群はいずれも生存したが、DEN投与群では5匹中4匹が、DEN+PIP投与群では2匹とも生存した。DEN投与群の平均体重は560g、DEN+PIP投与群では640gであり、コントロール群640gに比較してDEN投与群の平均体重が約80g小さかった。臓器別平均重量では、コントロール群:肺12.4g、肝29.0g、両腎4.7g、脾1.0g、DEN投与群:肺11.9g、肝32.1g、両腎4.4g、脾1.0g、DEN+PIP投与群:肺13.1g、肝38.4g、両腎4.8g、脾1.2gであった。次に、肉眼的に観察できる臓器表面の腫瘍結節を検索すると、コントロール群では全ての検索臓器に腫瘍結節を認めなかったが、DEN投与群においては肺では4匹中3匹に、肝では4匹とも、腎では4匹中3匹に腫瘍結節を認めた。しかし、DEN+PIP投与群においても肺で2匹中1匹に、肝では2匹ともに腫瘍結節の形成を認め、PIPの投与量の問題、臓器特異性の問題、あるいはPIP自体にも造腫瘍効果があること等が示唆された。腫瘍結節の性状は肉眼的には、粘液産生の多いmucinous type様の良性腫瘍を思わせるものからやや硬い腫瘍も認められ、幾つかの異なる性状を呈する腫瘍結節の存在が示唆された。現在、病理組織学的に腫瘍形態につき検討中であり、さらに当初予定の免疫組織化学的検索を行っていく予定である。又、今後48週まで引き続き腫瘍形成を見ていく予定である。
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