1994 Fiscal Year Annual Research Report
ブレオマイシンによるマウス肺障害における炎症性細胞ヒトロンビンの役割
Project/Area Number |
06670626
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菅間 康夫 自治医科大学, 医学部, 講師 (20187636)
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Keywords | ブレオマイシン / 急性肺損傷 / トロンビン / 白血球 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
本研究ではブレオマイシンの肺毒性のメカニズムの解明のために,ブレオマイシン静脈内投与マウスの急性肺損傷モデルを作成し,このモデルにおいてトロンビン,血管内皮細胞及び白血球がいかに関与しているかについて検討した. ブレオマイシン静脈内投与により,肺の湿重量/体重は,静脈内投与後3日より著明に上昇し,その変化は28日まで持続した.組織学的には,胞隔の肥厚,単核球の浸潤が著明であった.肺の乾湿重量比は一定の傾向を示さず,肺水腫は著明ではないと考えられた. 2)このモデルにおいてトロンビンがいかに関与しているかについて検討するため,抗トロンビン薬であるアルガトロバンを前投与して検討した.アルガトロバン前投与群では,トロンビンによる肺の湿重量/体重の上昇は有意に抑制され,組織学的にも肺障害の軽減が認められた. 3)次に血管内皮細胞と白血球との関連を探るために,光顕レベルでの肺胞毛細血管内の白血球の数に注目すると,ブレオマイシン静注3-5日後に肺胞毛細血管内の白血球の数は有意に増加した.抗トロンビン薬であるアルガトロバンを前投与した群では,この肺胞毛細血管内の白血球の数の増加はほぼ完全に抑制された. 以上の結果から,ブレオマイシン静注マウスの肺障害はトロンビンが関与している事が示された.また,この肺障害には血管内白血球が関与していることが示唆された.
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