1994 Fiscal Year Annual Research Report
気管支喘息の発症機構-マウスを用いた大気汚染物質による気道過敏性の発現に関する分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
06670631
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
大田 健 帝京大学, 医学部, 助教授 (30160500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和人 帝京大学, 医学部, 助手
中島 幹夫 帝京大学, 医学部, 助手
沢本 修一 帝京大学, 医学部, 助手
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Keywords | 気管支喘息 / マウス / 大気汚染物質 / アセチルコリン(Ach) / 気道過敏症 / マスト細胞 / リンパ球 / サイトカイン |
Research Abstract |
気管支喘息は、慢性の気道炎症と気道の過敏症を特徴とする可逆性の閉塞性呼吸器疾患である。近年、喘息の有症率は増加しており、その原因の1つとして大気汚染も考慮されているが、その因果関係が十分に検討されたとは言い難い。そこで本研究は、平成6年度から2年間にわたり、我々の確立したマウスの気道反応性を評価する実験系により、大気汚染物質という生理的に存在する刺激がどのような機構で気道過敏症を惹起するかをマスト細胞やリンパ球などの細胞とGM-GSF,IL-6,IL-8などのサイトカインの両面から検討し、最終的には大気汚染に限定されない普遍的な喘息の発症機構の解明を目的としている。本年度の研究成果は、以下のようになる。 1)マウスの気道反応性の評価には、アセチルコリン(Ach)の吸入により気道抵抗(Raw)が1.5倍以上になる時のAchの濃度(PT_<50>)の測定によっていたが、より感度の良い評価法として、Ach5mg/ml吸入時のRaw(Raw5)の測定を見出だした。 2)これまで検討を加えたA/Jマウスと異なり、先天的な気道過敏性のない純系マウス(Balb/cとC57Bl/6)について、大気ガス汚染物質NO_2の液化物質である硝酸と浮遊粒子状物質のディーゼル排気微粒子(DEP)のいずれかの経気道投与により気道反応性が亢進することを観察した。 3)C57Bl/6と同じH-2^bハプロタイプでマスト細胞が欠損するW/W^vマウスとそのlitter mate(+/+)で硝酸およびDEP投与の影響を検討した。その結果、W/W^vでは気道反応性の亢進が弱い傾向を認めているが、まだ結論を出すに至っていない。なお、病理所見と気管支肺胞洗浄液(BALF)の細胞成分の分析では、両者に明らかな差を認めていない。現在、早急に結論を出すべく実験を重ねているところである。
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