1994 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1関連脊髄症(HAM)におけるウイルス感染マクロファージの果たす役割
Project/Area Number |
06670637
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
大原 義朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50203914)
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Keywords | HTLV-l / THP-1細胞 / 溶解感染 / 感染クローン |
Research Abstract |
ヒトマクロファージ細胞株であるTHP-1細胞をマイトマイシン処理のHTLV-l感染リンパ球(MT-2細胞)と混合培養し、HTLV-lをTHP-1細胞に感染させた。感染初期においては、ウイルスメッセージの推移から、自己拘束性の溶解感染である可能性が示唆された。感染2カ月後,ウイルスメッセージは消失したが、ウイルスゲノムのシグナルは保たれており、感染細胞の割合は1,000個に1個であった。その後、それ以上の感染の拡大は認められなかったので、限界希釈法により感染細胞のクローニングを行い、最終的に4つのクローンが得られた。この4つのクローンは制限酵素による消化パターンが全く同じであり、同一起源の細胞と推定された。またPstl消化によって検出されるはずのenv領域2.4Kbのフラグメントが検出できなかったが、これは3′未満のPstl部位の点異変であることが分かった。また少なくとも未刺激の状態では、このクローンはウイルスメッセージの発現もウイルス蛋白の発現が認められなかった(Brain Pathology,4,1994)。 以上、HTLV-l感染マクロファージクローンが得られたので、今後、活性・分化によりウイルス産生やサイトカイン分泌がどのように変化するかを調べると同時に、こえらクローンによってラットに神経病変を誘導できるかどうかを検索することが可能となった。
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[Publications] Ohara Y,et al: "Establishment of human monocytic cells (THP-1)infected with human T-cell leukemia virus type l(HTLV-l)" Brain Pathology. 4. 474 (1994)
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[Publications] 大原義郎: "ウイルス感染による脱髄の機構" 日本臨床. 52. 2906-2911 (1994)