血清アポリポ蛋白Eアイソフォームによるアルツハイマー病の血液診断の試み

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06670650
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 葛原 茂樹 三重大学, 医学部・附属病院, 教授 (70111383)
• Keywords: アポリポ蛋白E / アルツハイマー病 / 老年痴呆 / 脳血管性痴呆 / 血清診断

Research Abstract

アポE4とアルツハイマー病(AD)との関連を明らかにするために、アポE表現型の分布とそれから計算される対立遺伝子ε2、ε3、ε4の出現頻度を日本人の健常者群{三重県北部在住の成人692名で、平均年齢51.4±12.6歳}と痴呆患者群は75名{平均年齢72.9±9.2歳で、60歳未満発症の早発性AD(EOAD)13名(平均年齢62.2歳±6.6歳)、60歳以上発症の遅発性AD(LOAD)30名(平均年齢76.2歳±6.9歳)、血管性痴呆(VD)32名(平均年齢74.1±8.9歳}との間で比較検討した。
APO E表現型の決定は等電電気泳動とイムノブロッティングにより行い、統計学的検討はx^2検定を用いた。健常者群ではアポE表現型の分布には性差・年齢差はみられず、遺伝子型ε2、ε3、ε4の出現頻度はそれぞれ0.05、0.85、0.10であった。痴呆群では、正常群との比較でアポE表現型の分布は、LOADでは有意差を認めたが(p<0.0001)、EOAD‐VDでは統計学的有意差はなかった。ε3の出現頻度は、EOAD 0.77、LOAD 0.60、VD 0.84で、ε4の出現頻度はEOAD 0.19、LOAD 0.38,VD 0.13であった。正常群との比較でLOADではε3は有意に低く(p<0.0001)ε4は有意に高かった(p<0.0001)。各遺伝型の出現頻度について正常群とEOAD,VD各々との比較、またEOADとLOAD、EOADとVDとの比較でも有意差はなかった。本研究の結果は従来報告されている外国・本邦での結果と結果と良く一致した。アポE4はLOADでの出現頻度が高く、LOAD発症に於ける危険因子の一つであると考えられる。

Research Products

• [Publications] 葛原茂樹: "脳血管性痴呆の診断と治療." 循環. 16(3). 12-17 (1995)
• [Publications] 葛原茂樹: "変性性・血管性・混合性痴呆の病態生理." 綜合臨床. 44(5). 813-820 (1995)
• [Publications] 葛原茂樹: "Alzheimer型痴呆の診断基準・病型分類・重症度." 内科. 75(6). 1341-1343 (1995)
• [Publications] 葛原茂樹: "神経難病および周辺疾患;老年痴呆." 総合臨床. 44. 2617-2622 (1995)
• [Publications] 葛原茂樹: "汎発性Lewy小体病と痴呆." 老年期痴呆研究会誌. 8. 113-117 (1995)
• [Publications] 葛原茂樹: "知能障害の臨床像;神経内科の立場より." Clin Neurosci. 14(1). 71-73 (1996)
• [Publications] 葛原茂樹: "「新筋肉病学」 筋萎縮性側索硬化症." 南江堂 杉田秀夫、小澤英二郎、埜中征哉 編, 10 (1995)