1995 Fiscal Year Annual Research Report
運動準備電位の研究-運動想起、運動麻痺における検討
Project/Area Number |
06670669
|
Research Institution | Teikyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 夏繪 帝京大学, 文学部, 教授 (80095017)
|
Keywords | 運動準備電位 / 随意運動 / 脳皮質運動 / 片麻痺 / 脳の可塑性 |
Research Abstract |
運動準備電位は、随意運動に際して運動開始前約2秒からはじまる緩徐な陰性電位(BP1)と運動開始前約0.5秒からはじまる急峻な陰性電位(BP2)からなる。BP1は両側の補足運動野に由来し、BP2は対応する一次運動野に由来すると考えられている。脳障害の回復期に、補足運動野や運動野の血流が増加することから、これらの部位の活性化が予測されている。 平成7年度は、単発性、単巣性の脳血管障害により片麻痺を来した患者の急性期ないしは亜急性期の運動準備電位を検討した。対象は13名で、随意的な手指の屈曲運動を行った。頭皮上電極から記録した脳波を、指運動の筋電図の開始点をトリガーに加算平均した。 その結果、運動準備電位の振巾は、1、13名中5名で、正中頭頂部でBP1、BP2ともに麻痺手指の運動時の方が、正常手指の運動時よりも大きかった。2、麻痺手指の運動時には、13名中6名で麻痺手指と同側の半球で、反対側の半球におけるよりもBP1、BP2ともに大きかった。 以上の結果は、脳血管障害による片麻痺の急性期ないしは亜急性期に、高頻度に、麻痺手指の運動に際して健側手指の運動時よりも脳が活性化され、また、麻痺手指運動に際して同側の脳が活性化されることを示しており、成人の脳においても脳の可塑性の存在することを示唆したものと思われる。今後、麻痺の回復過程での運動準備電位の変化、脳障害の急性期、亜急性期の運動準備電位所見が麻痺の予後判定に役立たないかなどの検討が望まれる。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 武田福治他9名: "維持血液透析者に併発したHTLV-1 Associated myelopathy (HAM)の一例" 日腎会誌. 37. 307-310 (1995)
-
[Publications] Ikeuchi T, et al Shimizu N, et al: "Dentatorubral-pallidoluysian atrophy (DRPLA): Clinical featires are closely related to unstable expansions of trinucleotide (CAG) repeat" Ann Neurol. 37. 769-775 (1995)
-
[Publications] 四川朝子他4名: "著明な四肢の変形と不随意運動を呈した進行性核上麻痺の1例" 運動障害. 5. 113-117 (1995)
-
[Publications] Shimizu N, Suzuki M, Tagawa A: "Readiness potential preceeding finger movements in patient with hemiparesis" Excerpta Media International Congress Series 1099. (in press). (1996)
-
[Publications] Okiyama R, Shimizu N: "Is the laterality of presaccadic negativity prior to horizotal self-iniciated saccades present?" Excerpta Media International Congress Series 1099. (in press). (1996)
-
[Publications] Shimizu N, Okiyama R: "Event- related scalp potentials prior to eye movements" Excerpta Media International Congress Series 1101. (in press). (1996)
-
[Publications] 清水夏繪(分担執筆): "神経内科Quick Reference第2版" 文光堂, 32 (1995)
-
[Publications] 清水夏繪(分担執筆): "「イラスト」めまいの検査" 診断と治療社, 2 (1995)