1994 Fiscal Year Annual Research Report
心筋障害を主徴とするベッカー型筋ジストロフィーの新病型に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
06670680
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
武田 伸一 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第一部, 室長 (90171644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 律子 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第一部, センター研究員
宮越 友子 国立精神, 神経センター・神経研究所・疾病研究第一部, 流動研究員
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Keywords | 筋ジストロフィー / DMD遺伝子 / ジストロフィン / 心筋障害 / 転写調節機構 / CArG box配列 / XLCM |
Research Abstract |
心筋障害を主徴とするベッカー型筋ジストロフィーについて、選択的な心筋障害がDMD遺伝子の心筋における転写調節部位の障害によるのではないかとの仮説の下に以下のような研究をおこなった。 1.心筋障害を主徴とするベッカー型筋ジストロフィーの複数の家系について、サザンブロット、PCRおよびDMD遺伝子のイントロン1に位置するDNAマーカーを用いて、遺伝子欠失範囲のfine mappingを行った。これらの家系では、DMD遺伝子の5′端に遺伝子欠失が認められ、特にイントロン1の5′端については、共通して欠損している可能性があったが、DNAマーカーを用いた検索の結果、それらは必ずしも重複していないことから、少なくとも、一つの箇所の遺伝子欠失では全ての家系を説明することは難しいと考えられた。 2.ヒトDMD遺伝子の心筋における転写調節機構について検討を行った。DMD遺伝子の筋型プロモーターにCAT遺伝子を組み替えたクローンを出発点として、一連の5′端欠失ミュータントを作製した。これらのミュータントをlipofection法を用いて新生仔ラット初代心筋細胞に導入し、細胞を回収してCAT assayを行った。初代心筋細胞において最も高い転写活性を与えるのは上流-102bp以下を含むミュータントであり、同部にはCArG box配列が存在した。一方、転写開始部位より下流にも心筋の転写を軽度に活性化する部位が認められた。更に、CArG box配列及びその周辺に塩基変異を導入した細胞導入実験と、CArG box配列及びその周辺をプローブとするゲル・シフトアッセイから、CArG box配列及びその3′端に結合する蛋白の重要性を明らかにすることができた。少なくとも、CArG box配列付近、転写開始部位より下流に存在する心筋における転写調節部位の遺伝子欠失は、心筋におけるジストロフィンの発現を減少させると考えられる。
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[Publications] Sekijima,Y.et al.: "A case of cytoplasmic myopathy with hypertrophic ---" Jpn J Int Med. in press. (1995)
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[Publications] Yoshida,K.et al.: "A mutant in the ceruloplasmin gene is associated with ---" Nature Genet. in press. (1995)
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[Publications] Takeda,S.et al.: "Myogenic regulatory factors can activate TATA-containing promoter --" J.Biol.Chem.in press. (1995)
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[Publications] 宮越友子、他: "筋の発生・分化の分子機構" 小児科臨床. 47. 2439-2435 (1994)
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[Publications] 石井亜紀子,他: "デュシャンヌ型筋ジストロフィー/Duchenne muscular dystrophy" 実験医学. 12. 121-125 (1994)
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[Publications] 武田伸一: "DMD遺伝子/ジストロフィンの異常と拡張型心筋症" 内科. 75. 441-446 (1995)
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[Publications] 石井亜紀子(分担執筆): "クリニカル・ファーマシーのための内科学" 医薬ジャーナル社, 563 (1994)
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[Publications] 武田伸一(分担執筆): "臨床遺伝医学VI" 診断と治療社(印刷中), (1995)