1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト冠微小血管障害の病因・病態生理の解明と治療法の検討
Project/Area Number |
06670686
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
三国谷 淳 弘前大学, 医学部, 講師 (60133881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 庚午 弘前大学, 医学部, 教授 (70003473)
藤野 安弘 弘前大学, 医学部, 助手 (50229027)
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Keywords | coronary microcirculation / myocardial ischemia / endothelium-dependent vasodilation / lipid metabolism |
Research Abstract |
ヒト冠微小血管障害の病因・病態生理の解明を目的として、狭心痛や心電図ST低下所見を示すが冠状動脈造影像で器質的および機能的狭窄所見が認められない患者(SX)21例の 1.心筋酸素摂取ならびにアデノシン動態、2.冠血管内皮細胞由来弛緩能、3.局所心筋血流動態、4.脂質代謝について検討した。1.心筋酸素摂取ならびにアデノシン動態:SXでは頻回心房ペーシング負荷時に5%以上の心筋酸素摂取率の低下、左室心尖部を中心とする領域に局所壁収縮能の低下が観察され、局在する心筋虚血の発生が確認された。しかし、心筋虚血発生時の動脈血および冠静脈血中のアデノシン濃度は対照群と有意差がなく、心筋虚血発生とアデノシン濃度との直接的関連は認められなかった。2.冠血管内皮細胞由来弛緩能:アセチルコリン(ACh)冠状動脈内投与時のSXの冠導管血管口径変化は対照群と有意差なかったが、冠抵抗血管反応性を含む冠血流変化は対照群に比して有意に小であった。従って、SXでは冠抵抗血管における内皮細胞由来弛緩能が低下していると推察された。3.局所心筋血流動態:SXの心筋虚血発生時における局所心筋血流動態を臨床的に評価するために、ジピリダモ-ル負荷前後でsonicated albuminを冠状動脈内に投与し、その時の心筋コントラストエコー像(心断層超音波法、血管内超音波カテーテル法)をvideocorderを介して磁気テープに収録した。現在、videodensitometryにより定量的に解析中である。4.脂質代謝:SXと対照群について、当科入院無投薬時の総コレステロール(T-chol)、HDL-コレステロール(HDL-chol)、LDL-コレステロール(LDL-chol)、VLDL-コレステロール(VLDL-chol)を検討した。以上のコレステロールのいずれも、両群で有意差はなかった。さらに、LDL-cholについては酸化LDLの観点から検討中である。
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