1995 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞肥大における細胞周期制御機構の関与:cdc2キナーゼの動態を中心にして
Project/Area Number |
06670699
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 宏 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (10232464)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣江 道昭 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (80101872)
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Keywords | 心筋細胞 / 肥大 / 細胞周期 / サイクリン / p21 / p16 |
Research Abstract |
最近数年間で細胞周期関連の研究は急速に進歩した。特に、p21^<cipl/wafl/sdil>およびp16^<INK4>を初めとする細胞周期制御因子の発見により、精巧な、細胞周期制御機構の全容が明らかになってきた。しかしながら、分化した細胞である心筋細胞における、これらの細胞周期抑制因子の発現、およびその役割に関しては明らかではない。 そこで、本年度は計画の一部を変更して以下の研究を行った。 【目的】血清刺激による心筋細胞肥大発症機構における、細胞周期制御因子の関与について明らかにする。 【方法】(1)新生児ラット初代培養心筋細胞におけるp21,p16,およびこれらのCdk inhibitorのtargetであるcyclinD1のmRNA発現の検討、(2)p21,p16を強制発現させるためアデノウイルスベクター(Ax1CAp21,Ax1CAp16)を作成し、それらを作用させた心筋細胞の細胞表面積の計測、muscle specific gene発現の検討、および[^3H]leucine取り込み実験による蛋白合成能の評価、(3)BrdUの取り込みの評価を、抗BrdU抗体および抗sarcomeric-actin抗体の二重免疫染色法を用いて行った。 【結果】(1)心筋細胞においてcyclinD1,およびp21mRNAは血清刺激により6時間後まで経時的に発現が亢進した。一方、p16mRNAの発現はほとんど認められなかった。(2)血清刺激により亢進した細胞表面積、muscle specific gemeの発現、および[^3H]leucine取り込みは、Ax1CAp21,Ax1CAp16による感染によりそれぞれ抑制された。(3)BrdU陽性細胞数はいずれの条件下でも全心筋細胞数の1%以下であった。 【考察・結語】細胞周期抑制因子であるp21およびp16が、血清刺激による心筋細胞肥大の発症に対し抑制的に働くことが示された。非増殖細胞である心筋細胞においても、細胞周期制御機構の一部が機能していることを示唆する所見と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hata M,Ito H,Adachi S,et al.: "Endothelin-3 Induces Hypertrophy of Cardiomyocytes by The Endogenous Endothelin-1-Mediated Mechanism." J.Clin.Invest.
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[Publications] Akimoto H,Ito H,Tanaka M,: "Heparin and Heparan Sulfate Block Angiotensin II-induced Hypertrophy in Culutured Neonatal Rat Cardiomyocytes." Circulation.
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[Publications] Fujisaki H,Ito H,Hirata Y,et al.: "Natriuretic peptides inhibit angiotensin II-induced proliferation of rat cardiac fibroblasts by blocking endothelin-1 gene expression." J.Clin.Invest.