1994 Fiscal Year Annual Research Report
マウス移植心における冠動脈硬化の成因に関する研究:エンドセリン欠損マウスおよび抗接着分子抗体を用いた検討
Project/Area Number |
06670703
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
関口 守衛 信州大学, 医学部・第一内科, 教授 (70075232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 光章 信州大学, 医学部・第一内科, 助教授 (80176263)
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Keywords | 接着分子 / 動脈硬化 / 心移植 / エンドセリン / ノックアウトマウス / ICAM-1 / LFA-1 / VCAM-1 |
Research Abstract |
【目的】心臓移植後冠動脈硬化が急速に進行することが臨床的に問題となっている。我々は、抗接着分子抗体の短期投与により、マウスの移植心が永久生着することを報告した。本研究では心移植マウスで、無治療あるいは、抗接着分子抗体を投与して動脈硬化の発症進展における、接着分子の発現およびエンドセリンの関与について検討することを目的とした。 【方法と結果】C3H/Heをドナー、BALB/cをレシピエントとして37匹のマウスで心移植を行った。一部は無治療で、一部は手術直後より抗ICAM-1抗体と抗LFA-1抗体、またはVCAM-1抗体とVLA-4抗体を短期間投与した。術後に移植心を摘出。HEおよびエラスチカワンギゾン染色で冠動脈狭小化を半定量的に評価した。長期間生着したマウスの多くで、臨床例と酷似した内膜肥厚を中心とする冠動脈病変がみられた。投与抗体と硬化の程度の関係は以下の表の通りであった。 【結論】抗ICAM-1/LFA-1抗体により急性拒絶に対する寛容を導入したマウスにおいても、内膜肥厚を認めたが、その程度は抗VCAM-1/VLA-4抗体投与群より軽く、より動脈硬化進展を抑制する効果が強いことが示唆された。 本研究のもう一つの目的である、エンドセリンの役割については、現在エンドセリンノックアウトマウスの系をC57BL/6に変換している。遺伝的バックグラウンドが均質になるには最低8代の継代必要であるとされており、なお数代の継代が必要である。本研究は、東京大学医学部矢崎義雄教授、栗原裕基博士との共同研究であり、継代が終わり次第、供給を受け、実験を始める予定である。
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