フィブリン器質化過程における血管平滑筋細胞の役割解析

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06670708
• Research Institution: Nagoya University
• Principal Investigator: 内藤 通孝 名古屋大学, 医学部, 助手 (10198012)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 林 登志雄 名古屋大学, 医学部, 医員 ; 葛谷 雅文 名古屋大学, 医学部, 医員 ; 井口 昭久 名古屋大学, 医学部, 教授 (20109763)
• Keywords: フィブリノゲン / フィブリン / 血管平滑筋細胞 / 遊走 / 血栓器質化 / 動脈硬化

Research Abstract

本研究は牛胎児胸部大動脈より血管平滑筋細胞を培養し、フィブリン塊に対する平滑筋細胞の反応を主に細胞生物学的手法を用いて解析しようとするものである。平成6年度は、まず牛胎児胸部大動脈より血管平滑筋細胞の培養系を確立した。続いて市販フィブリノゲンからプラスミン、フィブロネクチン、第XIII因子等の夾雑物を除去し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動などによって精製度を確認した。さらに、インビトロ、無菌下にフィブリン・ゲルを作成し、種々の条件で培養平滑筋細胞と接触させる系を案出した。そして、その内より平滑筋細胞の遊走・侵入を定量的に評価できる系の開発に成功した。即ち、培養皿上にコンフルエントに培養した平滑筋細胞上に、精製フィブリノゲンにトロンビンを加えることによりフィブリン・ゲルを作成し、培養を続けると、平滑筋細胞は経時的にゲル内に遊走・侵入する。遊走した細胞は位相差実体顕微鏡により、遊走していない細胞と容易に区別でき、視野あたりの遊走細胞数を計数することにより再現性ある定量化に成功した。次年度にはこの系を用いてフィブリン・ゲル中への平滑筋細胞の遊走に影響する因子について解析を行う予定である。

Research Products

• [Publications] 内藤通孝、林登志雄、井口昭久: "動脈硬化性疾患診療上の問題点-動脈硬化性疾患の危険因子としての fibrinogen-" 日本老年医学会雑誌. 31. 213-218 (1994)
• [Publications] Naito M,Kuzuya M,Iguchi A: "Mechanisms of endothelial cell injury induced by oxidatively modified LDL" The Journal of Japan Atherosclerosis Society. 22. 257-262 (1994)
• [Publications] Naito M,Yamada K,Hayashi T,Asai K,Yoshimine N,Iguchi A: "Comparative toxicity of oxidatively modified low-density lipoprotein and lysophosphatidylcholine in cultured vascular endothelial cells" Heart & Vessels. 9. 183-187 (1994)
• [Publications] 内藤通孝、井口昭久: "老年と変性脂質" 現代医療. 26. 1499-1504 (1994)
• [Publications] Hayashi T,Ishikawa T,Kuzuya M,Naito M,Yamada K,Asai K,Hidaka H,Iguchi A: "Chelation of copper reduces inhibition by oxidized lipoproteins of endothelium-dependent relaxation in porcine coronary artenes" Heart & Vessels. 9. 283-291 (1994)
• [Publications] 内藤通孝、井口昭久: "内分泌、代謝性疾患の薬物治療、高脂血症" 医学と薬学. 32. 1061-1068 (1994)
• [Publications] 内藤通孝、葛谷文男: "過酸化脂質・フリーラジカル実験法" 五十嵐修、島崎弘幸編著、学会出版センター, 233 (1994)