1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト心血管系臓器における環状ヌクレオチド分解酵素に関する研究
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06670710
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伊籐 正明 三重大学, 医学部, 助手 (00223181)
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Keywords | ヒト心筋 / 環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ / 強心剤 / 環状ヌクレオチド |
Research Abstract |
【目的】環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)は、細胞内情報伝達系において重要なセカンドメッセンジャ一であるcAMPやcGMPの分解酵素である。このPDEには最低5種類のアイソザイムファミリ一よりなると考えられているが、未だヒト臓器におけるPDEアイソザイムの分布に関する検討は詳細の行われていない。そこでヒト心筋PDEアイソザイムの性状および細胞内局在を検討し、さらに強心剤として臨床応用が検討されている薬剤のヒト心筋PDEアイソザイムに対する効果も検討した。【方法】Weishaarらの方法に従い、PDEアイソザイムをDEAEセファロース力ラムを用いて、剖検より得られた心筋の細胞質分画および膜分画より分離精製した。PDE活性は2ステップアッセイ法にて測定した。【結果】1)心筋PDEアイソザイムは、細胞質分画にCa^<2+>-calmodulin activated PDE(PDEI),cGMP-stimulated PDE(PDE2)、cGMP-inhibited PDE(PDE3)およびcAMP-specific PDE(PDE4)の4種類が認められた。膜分画にはPDE活性としてPDE3が大半を占めていたが、PDE4およびcAMPに対するKm値や阻害薬効果などの検討よりPDE4の亜型と考えられる新たなPDEアイソザイムの存在も認められた。2)強心作用を有する新しい薬剤はPDE1、PDE2への阻害効果は弱いが、PDE3への阻害は強く、その阻害はcAMPに拮抗的で、NSP-805、TZC-5665、OPC-18790、MS-857およびE-I020のPDE3に対するKi値は各々0.025、0.I5、0.42、1.3、0.I5μMであった。また、NSP-805やTZC-5665などのピリダジノン系薬剤は、PDE4に対する阻害効果は弱く、PDE3に対して高い選択性を有していた。【結語】ヒト心筋の膜分画においてPDE3以外にPDE4およびこの亜型の新しいアイソザイムの存在が明らかとなった。また強心剤として、PDE3対し高い選択性を有するピリダジノン系薬剤と、PDE4にも阻害作用を有する非ピリダジノン系薬剤の急性および慢性心不全に対する治療効果の相違など今後臨床レベルでの検討が必要と考えられた。
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[Publications] Masaki Sugioka,: "Ideitification and characterizaron of isoenzgmes of cyclic nucieorde phospncdiesteroe in Riuman kidney and heart ,and the efferts of new Crdatonic agents 0n these isoerymes," Nannyu-Schniedebergs Arch。Pharmacol。. 350. 284-293 (1994)