1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670715
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
半田 伸夫 大阪大学, 医学部, 助手 (80228676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 智 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
北川 一夫 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 助手 (20192346)
|
Keywords | 脳虚血 / チロシンリン酸化 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
短時間(5分から10分)の脳虚血後には虚血侵襲に特に脆弱な部位、海馬CA1領域の神経細胞の選択的な脱落、細胞死が数日かけてゆっくりと進行する。この砂ネズミ一過性前脳虚血後に再現性良くみられる遅発神経細胞死のモデルを用いて虚血負荷から神経細胞死が発生するまでの間の蛋白チロシンリン酸化の動態を免疫ブロット法を用いて検索し、細胞死にチロシンリン酸化をはじめとした細胞内情報伝達系が如何に関与するか検討した。砂ネズミ両側総頸動脈5分間閉塞後には海馬CA1領域には細胞死が発生するが大脳皮質は虚血に曝されるものの細胞死の発生を認めない。虚血後血流再開通し、虚血直後から4日後までの間の海馬、大脳皮質の試料を経時的に採取しリン酸化チロシンに対する抗体を用いて免疫ブロットを行なった。虚血直後から海馬、大脳皮質両領域において42kDのMAPキナーゼに一致するタンパク質のチロシンリン酸化の亢進が観察された。また虚血後8時間後から24時間後にかけて分子量160,115,102,92,85kDのタンパク質のチロシンリン酸化が海馬においてのみ亢進することが観察された。さらに虚血後の動物にチロシンキナーゼの特異的阻害剤であるradicicolを投与し、海馬でのこれらチロシンリン酸化の亢進を抑制することにより、細胞死の発生を抑制しうることも明らかとなった。以上の結果より虚血性神経細胞死の発生にはタンパク質チロシンリン酸化の亢進を介した細胞内情報伝達系が深く関与することが明らかとなった。
|