1994 Fiscal Year Annual Research Report
欠管障害後の内膜肥厚と、NOによるその抑制効果に関する検討
Project/Area Number |
06670734
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
丸山 幸夫 福島県立医科大学, 医学部・(第一内科), 教授 (90004712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 富義 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30235056)
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Keywords | 経皮的冠動脈形成術 / 動脈硬化 / 内膜肥厚 / L-Arginino / D-Arginine / L-NAME / NO |
Research Abstract |
【目的】経皮的冠動脈形成術後及び動脈硬化でみられる内膜肥厚に対して一酸化窒素(NO)がいかなる作用を持つか解明することを目的にし、ラットの頸動脈内膜を損傷し内膜肥厚(IH)を作成し、それに対するNOの作用を検討した。 【方法】400gのSD ratの頸動脈内膜をFogartyカテーテルで損傷。直前より2週間頸静脈から、浸透圧ポンプで{L-Arginine(LA):3mg/kg/day(A群),30mg/kg/dy(B群),生食水投与(C群),D-Arginine(DA):30mg/kg/day(D群),L-NAME:1.4mg/kg/day(E群)}を投与し、IHの程度を5群間で比較した。IHの程度は損傷2週間後血管横断面標本を作成し、内膜と中膜の面積比(I/M)から求めた。なお、LA投与群は血中Arginine濃度(P-ARG)についても測定した。 【結果】(mean±SEM,*P<0.05 vs.C群)。 群(n) C:生食(6) A:LA3(5) B:LA30(5) D:DA(4) E:NAME(4) I/M 1.2±0.1 0.8±0.1 0.5±0.1* 1.2±0.2 1.±0.1 LAは容量依存性にI/Mを低下した。P-ARGは投与Arginineと共に上昇し(C:95±26, A:125±16, B:136±21単位nmol/ml)、I/MとR=-0.61(P<0.05)の負の相関を示した。一方、DAはI/Mを低下しないことからLAの作用はNO産生を介すると考えられた。またL-NAMEではI/Mが増加しないことから、内因性NOのIH抑制作用は弱いことが推定された。 【結論】内因性のNOは傷害後の血管内膜肥厚に対し抑制作用は期待しにくい。しかし、NOの基質であるL-Arginineを外因性に投与すると、容量依存的にNO産生をあげて内膜肥厚を抑制することが示された。これより、今後、肥厚内膜に対するNOの作用をさらに促進することが可能であれば、その抑制作用は一層期待しうることが示唆された。
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