1995 Fiscal Year Annual Research Report
タリウム201心筋シンチにおける逆再分布現象の意義のPETによる検討
Project/Area Number |
06670736
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伴野 辰雄 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (50117850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大手 信之 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10185332)
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Keywords | タリウム心筋シンチ / 心筋梗塞 / FDG-PET / Acetate PET |
Research Abstract |
1994年度において当該テーマに交付された科研費により,心筋梗塞患者において運動負荷Tl-201心筋シンチグラフィ(Single Photon Emission Computed Tomography:SPECT)24時間逆再分布領域における糖代謝をF-18 FDGを用いたPositron Emission Tomography(PET)によって評価し,24時間逆再分布の意義をJ Nucl Medに報告した。Tl-201心筋SPECT24時間後像はタリウムの平衡分布像である。Tlイオンの細胞膜Na-K ATPaseに対する親和性がKイオンのそれと同等あるいはそれ以上であることから,心筋におけるTlイオンの分布はKイオンの分布に相当し,従ってタリウム平衡分布像であるTl-201心筋SPECT24時間後像はviableな心筋量を反映する画像であると思われる。Tl-201心筋SPECT運動負荷後像でTlの集積の低下がほとんど見られず,かつ24時間後像で集積低下すなわち24時間後逆再分布が認められる領域は,心筋血流は維持されているが心筋viabilityの低下した領域であると考え得る。同領域における糖代謝異常をFDG PETを用いて証明し,心筋梗塞患者におけるTl-201心筋SPECT24時間逆再分布の意義を明らかにした。1995年度は同じく心筋梗塞患者を対象に,C-11 acetateをトレーサーとするPETを行い,Tl-201心筋SPECT24時間逆再分布領域における心筋酸素代謝を定量的に検討した。心筋におけるC-11 acetate活性の減衰を指数関数で近似し,減衰の速さの定量値(酸素代謝の活性に相当)Kmonoを計算した。Kmono値は,Tl-201心筋SPECT24時間像正常領域では0.0634,固定性欠損領域0.0387,24時間逆再分布領域では0.0452であった。この結果よりTl-201心筋SPECT24時間逆再分布領域においては糖代謝のみならず,酸素代謝も障害されていることが明らかとなり,Tl-201心筋SPECT運動負荷後像でTlの集積低下がほとんど見られない領域,すなわち血流の維持されている領域における心筋障害をTl-201心筋SPECT24時間後像を撮像することにより評価し得ることが,さらに明らかとなった。Tl-201心筋SPECTの初期像が心筋血流を表していることはすでに確立されているが,これら一連の検討によりTl-201心筋SPECT24時間後像が代謝イメージと同等の情報を含むというTl-201心筋シンチグラフィの新しい可能性を示唆する結果を得た。
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[Publications] Nobuyuki Ohte.Takeshi Hashimoto Tatsuo Banno et al,: "Clinical Significance of Reverse Redistribution on 24-Hout Delayed Imaging of Excercise Thallium-201 Myocardial SPECT:Compocrison with Myocardial Fluorine-18-FDG-PET Imaging and Left Ventricular Wall Motion" The Journal of Nuclear Medicine. 36. 86-92 (1995)