1996 Fiscal Year Annual Research Report
特発性心筋症の発症と進展における成長因子bFGF,TGFβの役割
Project/Area Number |
06670747
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
富田 喜文 日本医科大学, 医学部, 助手 (00180175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長江 安洋 日本医科大学, 医学部, 助手 (10189102)
清野 精彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (10163073)
|
Keywords | 成長因子(細胞増殖因子) / FGF / アポトーシス / 心筋症 / モデル動物 |
Research Abstract |
前年度までのヒト心筋症での検討結果より,fibroblast growth factor(FGF)の発現がヒト特発性心筋症のみならず心筋症モデル動物の心筋にも増加していることが明らかとなった.本年度は心筋症ハムスターBIO14.6を用いて、前年度に引き続き心筋症モデル動物における成長因子の関与について検討を行った. 心肥大期の20週齢に加え肥大発症前期の6週齢ハムスターを用い,対照として同週齢のシリアンハムスター(F1β)を用いた.成長因子検索の方法として,組織所見の検討,FGF,TGF-B1,IGF-Iなどの免疫組織化学に加え,心筋ホモジネートより蛋白発現の検索としてWestern blottingを施行した.また,心筋症における成長因子とアポトーシスの関連について検討する目的で,心筋組織のin situ TdT染色(Tunel法)を行った. 結果 心筋症ハムスターの心・体重量比,心筋細胞径は20週令では対照動物に比較し有意に大であったが,6週令での比較では差がなかった.20週令ハムスターのFGF染色では変性心筋を中心に非変性心筋にも広範に強い陽性像が認められた.6週令ハムスターにおいても,非変性心筋にFGF染色が軽度から中程度陽性であり対照動物に比較して差を認めた.同所見はFGF蛋白のWestern blotによる検討でも確認された.Tunel法による心筋アポトーシスの検討では,20週齢ハムスターの変性部のみ陽性像が認められた. 結論 以上より,成長因子の一つであるFGFがモデル動物の心筋に比較的早期より発現が増加していることが明らかとなった.ヒト心筋症での検討結果もあわせ,FGFが心筋症の病態生理に関連を有することは明らかである.今後,成長因子の果たす意義について,アポトーシスの関連についても含めて,さらに検討を進める予定である.
|