1994 Fiscal Year Annual Research Report
プロピオン酸血症の遺伝子治療にむけての発現ベクターの作成
Project/Area Number |
06670762
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大浦 敏博 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10176828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (10205221)
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Keywords | プロピオン酸血症 / プロピオニルCoAカルボキシラーゼ |
Research Abstract |
1、はじめに:プロピオン酸血症はプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)欠損により引き起こされる先天性代謝異常症である。PCCはα、β二つのサブユニットよりなる複合酵素でα、βいずれかの障害により発症する。我々はすでにβ鎖欠損8例の遺伝子解析を行い報告したが、今回7例のα鎖欠損線維芽細胞を用いその遺伝子変異を解析したので報告する。次に、新たに考案したPCCの発現系を用いて変異の活性に対する影響を検討する予定である。 2、方法:7例の患者細胞(no.91,168,295,330,344,409,419)より抽出したpoly(A^+)RNAを用いてcDNAを合成し、それを4分割し、PCR法により増幅した。塩基配列はジオキシターミネーション法を用いて決定した。 3、結果及び考案:cDNAを4分割して増幅し電気泳動を行ったところ、プライマー3(nt:1071-1091)と(nt:1671-1694)の組み合わせで91,330,409の患者細胞で正常のサイズと異なる異常バンドが検出された。すなわち、91,409では正常バンドとサイズの小さいバンドが、330では正常とサイズの大きいバンドが認められた。これらのPCR産物の塩基配列を決定したところ以下の結果が得られた。no.91:nt.1356-1466間の111bpが一方のアリルで欠失、他方は正常配列。no.330:一方のアリルのnt.1210に84bpの挿入、他方は正常シークエンス。no.409:nt.1464-1566間の103bの欠失をホモに認め、更に一方のアリルに330と同じ84bp挿入を同時に認めた。この欠失と挿入はミススプライシングによると思われ、同一部位で3名の患者に認めたことによりこの領域は変更のホットスポットであると予想される。 4、今後の方針:ミススプライシングの原因として、スプライス部位の異常が考えられる為、エクソン-イントロン部の解析を行う。更に、in vitroの発現系を用いてミススプライシングのメカニズムを解析したい。
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[Publications] Toshihiro Ohura: "A novel splicing matation in propionic cuidemia associaled with a tetranacleotide direct repeat in the PCC B gene." Humau Genetics. (in press). (1995)
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[Publications] 大浦敏博: "「臨床DNA診断法」プロピオン酸血症" (編)古庄敏行,井村裕夫,倉田毅,中込弥男,岡田伸太郎,湯浅保仁, (印刷中) (1995)