1995 Fiscal Year Annual Research Report
tal-1遺伝子の小児T細胞(-)白血病における特異的異常とその機能
Project/Area Number |
06670772
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 茂俊 東京大学, 医学部(病), 助手 (70260487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
別所 文雄 東京大学, 医学部(病), 助教授 (40010285)
林 泰秀 東京大学, 医学部(病), 講師 (30238133)
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Keywords | tal-1 / T cell leukemia / orcagere |
Research Abstract |
今年度は症例の増加によるtal-1の特異性、発現頻度の検討、予後因子としてのtal-1、mRNAについての検討を行った。 PCRによるtal-1欠失の方法については前年度に報告したが、それを用いて多数例で頻度の解析を行った。小児のT-ALL39例、T-NHL18例、AMLL4例、B-precursorALL47例、さらに成人のT-ALL25例、adultT-cell leukemia10例(すべて患者検体)について解析した。tal-1欠失は小児のT-ALL39例中9例(23.1%)に検出できた。これは今までの報告とほぼ同じ頻度であり、人種差は認められなかった。他の種類の疾患細胞では検出されなかった。 欠失していた白血病細胞の表面マーカーはCD1(-)CD2(+)CD4(-)CD7(+)が共通にみられ、CD3+が2例、CD8+が4例で認められた。7例がstage I thymic deffrentiationであった。正常細胞ではこの段階でTCRの遺伝子再構成が起こること、tal-1欠失がリコンビネース認識部位であることから欠失発生の機序と関係があることが示唆され興味深い。対照的に欠失がなかった小児のT-ALL、TNHL、成人のT-ALL、ATLでは表面マーカーはさまざまで明らかに差異が認められた。 次に予後因子としてのtal-1欠失であるが、欠失のないT-ALLに比べ欠失のあるT-ALLの方Kaplan-Meyerでは有意に予後が良いことがわかった。ただし、最近、治療がより強力になれば2グループに差がでないとの報告もあり今後の検討が必要である。 最後に、mRNAについて検討する予定であったが、現在のところ明確な結果が出ず今後の課題として残ることになった。
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