1994 Fiscal Year Annual Research Report
IgA腎症の発症・進展に関与するウイルスの役割についての病態病理学的研究
Project/Area Number |
06670813
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
鈴木 仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 一成 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (40254023)
鈴木 順造 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20171217)
加藤 一夫 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (40136990)
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Keywords | Cox.B_4 virus / in situ hybridization / ウイルス性実験腎炎 |
Research Abstract |
[目 的]ウイルスをマウスに繰り返し静注して得たヒトIgA腎症類似の腎病変において、in situ hybridization 法(ISH法)を用いて糸球体内のウイルスRNAの局在を検討した。 [方 法]4週齢、雌のSwiss Albinoマウスに、10^7TCD_<50>/0.1mlのCoxsackie B_4ウイルス(Cox.B_4)0.3mlを尾静脈より1か月に1回ずつ、5か月齢まで摂種し、以後は無処置とし、6か月齢より12か月齢まで1か月毎に屠殺した。腎の組織学的検討は光顕、電顕、蛍光抗体法により行い、ISH法はジゴキシゲニン標識オリゴヌクレオチドプローブを用いて行った。血清のIgG,IgAはRID法にて測定し、中和抗体価は非働化後マイクロタイタ-法で測定した。 [結 果]光顕では6か月齢より糸球体にメサンギウム増殖及びPAS陽性沈着物を認めた。9か月齢より増殖性変化は次第に改善し、11,12カ月になると沈着物も目立たなくなった。電顕では6か月齢頃からメサンギウム領域からパラメサンギウム領域にかけて多量のEDDが存在した。蛍光抗体所見ではIgG,IgAとも6か月齢よりメサンギウム領域に認められ、10か月以降はIgAが優位であった。ISH法のシグナルは6か月齢よりメサンギウムに認められ、10か月齢で最大となって、その後時間とともに減弱したが、12か月齢でも認められた。血清IgG値は6か月齢より9か月齢、血清IgA値も次第に上昇し、8,9か月齢でそれぞれコントロール群に比し、有意に高値であった。血清中和抗体価は、ウイルス摂取中止後も上昇した。 [結 論]Cox.B_4をマウスに繰り返し静注することによりヒトIgA腎症類似の病変が得られた。この病変上にウイルスRNAが検出されたことは、腎組織上の沈着物がCox.B_4の免疫複合体であると考えられ、これが腎組織傷害を引き起こしているものと思われた。
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