1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670825
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
工藤 純 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80178003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
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Keywords | ダウン症候群 / 第21染色体 / DSCR / コスミド / エキソントラッピング / sim / bHLHドメイン / PASドメイン |
Research Abstract |
平成5年度までにヒト第21染色体のダウン症候群関連領域(DSCR;D21S17-D21S55-ETS2)に含まれる884個のコスミドを同定し、19のサブ領域に分類した。平成6年度はダウン症の原因となる遺伝子を同定するためにエキソントラッピング法を用いてこの領域からの未知遺伝子の単離を試みた。プールしたコスミドDNAを材料としてベクターpSPL3を用いてエキソントラッピングを行った。得られたエキソンは塩基配列を決定し、ホモロジー検索を行った。現在までに150種類以上のエキソンが得られている。ほとんどは未知のものであったが、非常に興味深いことにショウジョウバエの中枢神経系の発生に重要な機能を果たす転写調節因子の遺伝子であるsingle-minded(sim)と高い相同性を示す5個のエキソンもこれらの中に含まれていた(ヒトSIM遺伝子と名付けた)。ショウジョウバエのSim蛋白はbasic-helix-loop-helix(bHLH)ドメインおよびPAS(Per-Arnt-Sim)ドメインを持つ転写制御因子であるが、5個のヒトSIMエキソンにコードされる蛋白のアミノ酸配列はショウジョウバエのSim蛋白の両ドメインと非常に高い相同性を示した(60〜88%)。ショウジョウバエのsim遺伝子と同様にヒトSIM遺伝子も中枢神経系の発生初期に転写制御レベルで重要な機能を果たす可能性が高く、ダウン症の主要な症状の一つである精神遅滞との関連で非常に興味深い。現在マウス胎児cDNAライブラリーよりSIMcDNAをクローニングし,塩基配列を解析中である。今後は、SIM以外の未知遺伝子についてもcDNAのクローニング・塩基配列の決定を行い、ダウン症との関連を追究する予定である。
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