Research Abstract |
I チェックリストの作成 現在自閉症の診断基準として、DSM-III-Rでは下位項目は,相互反応調節,非言語的意志伝達の障害などの抽象的な表現がされているので,「あやしても喜ばない」,「今日は等に反応しない」,「うれしくて親に見せに持ってくる」などの具体的な症状を文献や経験から多数設定(合計52症状)したチェックリストを作成した. II 調査対象は心身障害児通園施設,保健所経過観察児(発達クリニック受診児),教育センター教育相談室受診児,心身障害学級児の合計120名であった。 III 各患児に対して,主任研究者が診察を行い,さらに自閉症のチェックリストを記載した.従来行われている診察ならびに行動観察による診断と,チェックリストによる診断を行い,比較検討した.今回はその中で各項目のデータのそろった症例(44例)について分析した. チェックリストからは,20名が自閉症(完全型)と診断された.これらについて,診察による診断では,重度は2名,中等度は8名,軽度は6名,境界は4名,正常は0名であった.すなわち,チェックリストによる診断の方が,診察,行動観察よりも自閉症の症状をより強く把握する傾向が認められた. 具体的な下位項目のうち,陽性率の高いものは,「他人の事(不快)を気遣いしないでマイペースで行動する」,「孤立した遊びを好む」,「大人の役や動物を空想して演じることをしない」,「あるパターン,CMのマーク,特定の物や動きに関心がある」などであった. 今後はデータを増やして,より特異性の高い項目を選定して,各患児の自閉性の程度(rating)を明らかにしたい.
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