1995 Fiscal Year Annual Research Report
遅発型男子オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症の発症の分子機構
Project/Area Number |
06670843
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Research Institution | Kurume University School of Medicine |
Principal Investigator |
芳野 信 久留米大学, 医学部, 助教授 (40080569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西依 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (30218226)
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Keywords | オルニチントランスカルバミラーゼ / 変異遺伝子 / 発現 |
Research Abstract |
平成6年度までの研究で、遅発型男子オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症4症例のOTC遺伝子を解析し、うち3例に40番コドンのアルギニンがヒスチジンに変化する変異(R40H)および1例に55番コドンのチロシンがアスパラギン酸に変化する変異(Y55D)を発見した。さらに平成6年度から7年度にかけての研究で以下の知見を得た。1.それぞれの変異を持つOTCcDNAを組み込んだ発現ベクターおよび細菌β-ガラクトシダーゼ遺伝子を組み込んだ発現ベクターpSAc-lacZをCosl細胞に導入、72時間目にハーベストし、標識OTCcDNAをプローブとしてmRNAの発現レベルを解析したところ、R40H、Y55Dのいづれも野性型OTCのそれと発現レベルには有意差を認めなかった。2.また、同じCosl細胞中に発現したOTC活性(β-ガラクトシダーゼ活性で補正した相対活性)は、野性型に対する相対活性はR40Hは29%、Y55Dは28%(n=3)と低下していた。これらの発現酸素は5回の凍結融解処理後、処理前野性型OTC活性(100%)に対して、R40H変異のOTCは5.8%に低下した。いっぽうY55D変異OTCは有意の低下を認めなかった。3.その後に発見された3症例でR40H変異が同定され、うち1例の生検肝でのOTCmRNAレベルは正常対照と有意差を認めなかった。4.他の1例の培検肝でOCTのL-オルニチン、カルバミルリン酸に対する見かけのKm、pH-活性プロファイルを検討したが、いずれも正常対照と有意差を認めなかった。以上の結果から、R40H変異OTC活性低下の機序は、翻訳以降のタンパクの不安定性によること、また、そのR40HOTCの基質特異性等の酸素学的性状は大きな障害はない事が明らかになった。いっぽう、Y55DOTCの活性低下については今後の検討を要する。
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[Publications] 西依 淳: "男子遅発型オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症にみられた変異遺伝子の発現実験" 日本小児科学会雑誌. 99. 290- (1995)
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[Publications] M. Yoshino,: "Late onset ornithine transcarbamylase deficiency in males" International Hepatology Communications. 3. 61- (1995)