1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06670848
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
加我 牧子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神薄弱部, 部長 (20142250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 彰 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 治療研究室長 (10270688)
稲垣 真澄 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 診断研究室長 (70203198)
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Research Abstract |
外的刺激への反応が極端に乏しい児では末梢感覚器に異常がなくとも感覚機能の評価が難しい。事象関連電位(ERP)のうちmismatch negativity(MMN)成分は被験者が刺激に注目しなくても感覚神経系がその差を識別すれば出現するので検査への能動的関与が全く期待できない対象児にも応用できる可能性がある。本研究では視覚刺激へのMMNの有無から対象児の視覚認知機能の他覚的評価が可能かどうか検討することを目的とした。 対象児の理学的・神経学的検査,眼科的検査,神経生理学的ならびに画像診断検査を行い,視覚刺激への反応に注目して検討を開始した。さらに適切と思われる標的刺激をビデオカメラで撮影しプロセッサー,コントローラーを介しカラーモニターに複数の刺激を映写してERP検査を準備した。しかし対象として選択した慢性意識障害児5例では,ERGは記録できてもVEPは記録されず,脳障害が重度過ぎて臨床的視覚反応は全く認められなかった。このためまだ適切な標的刺激の選択に成功していない。これらの症例に対しては現在もこの点を試行中であり,次年度に継続予定である。 さらに視覚的には一定のアニメーションキャラクターにのみわずかに関心を示している可能性のある重度発達障害児に,これを標的刺激としてERP検査を行い,視覚的MMNが存在しているとみられた。従ってこの絵を初期段階では認知しているものと考えた。また本児は家族にも全く親しみを見せないが,父の顔を標的とした刺激を作成しERP検査を行ったところ,MMN反応が得られ,家族と他人の識別をしている可能性が示された。 すなわち本方法にて視覚刺激へ反応が確認できない状態でも対象児の視覚認知機能の他覚的評価が一定程度可能であると考えられた。
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