1995 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングによる先天性皮膚疾患モデルマウスの作製
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06670874
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山西 清文 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (10182586)
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Keywords | 皮膚疾患 / 角化細胞 / トランスグルタミナーゼ1 / 発現調節 / 角化症 / 葉状魚鱗癬 / モデルマウス / ジーンターゲティング |
Research Abstract |
本年度は、常染色体劣性葉状魚鱗癬のモデルを作製するために、疾患遺伝子であるトランスグルタミナーゼ1(TGasel)の発現制御領域の機能を解析した。方法として、TGasel遺伝子の5'上流2.5kbの欠失変異体をルシフェラーゼ(Luc)遺伝子に組み換えたレポーター遺伝子を作製し、FRSKラット角化細胞に導入後、Luc活性を測定し、TGasel遺伝子の転写活性を測定した。protein kinase Cを活性化するTPAを作用させた場合、Luc活性の著明な増加が観察され、転写活性化に必要な領域が-95から-67に存在することが明らかとなった。次に、表皮に特異的に発現するprotein kinase CであるnPKCηとTGasel転写制御系の関わりを解明するために、nPKCηの発現プラスミドをこれらのレポーター遺伝子とともに導入し、転写活性の変化を検討した。その結果、TPAを作用させた場合と同じ領域の欠失によって転写活性が低下することから、TGaselの転写活性化のシグナル伝達系として、nPKCηが重要な役割を果たしていることが示唆された。nPKCηの効果を、さまざまなPKCアイソフォームと比較したところ、nPKCηがもっとも強く、ついでnPKCδでも発現誘導されるが、他のcPKC、aPKCファミーリーではTGaselの転写活性化は認められなかった。このようなnPKCηの作用は、角化細胞以外では観察されないことから、TGasel遺伝子の発現には、nPKCη以外に、角化細胞に存在する未知の因子が必要と考えられた。本年度の研究から、TGaselの完全なターゲティングには、この転写制御領域の破壊が重要と考えられ、現在、129Sv/JマウスTGasel遺伝子をクローニングし、5'上流からエキソン2を含めた領域を組み換えるターゲティングベクターの構築を行っている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Morishima,Y.,et al.: "Chromosomil Loci of 50 human keratinocyte cDNAs assigned by fluorescence in sltu hybridization" Genomics. 28. 273-279 (1995)
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[Publications] Matsuki,M.,et al.: "Epidermolysis bullosa simplex(Weber-Cockayne)associated with a novel missonce mutation of Asp 328 to val in linker 12 domain of keratin 5" Hum.Mol.Genet.4. 1999-2000 (1995)
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[Publications] 山西 清文: "Transglutaminase 1 遺伝子の転写調節機構" 日本皮膚科学会雑誌. 105. 1560-1564 (1995)
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[Publications] Yamanishi,K.: "Gene analysis of human skin and skin diseases" J.Dermatol.Sci.11. 169-176 (1996)
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[Publications] Ueda,E.,et al.: "The η isoform of protein kinase Cmediates transcriptional actiontion of the human transglutaminase 1 gene" J.Biol.Chem.(in press). (1996)
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[Publications] 山西 清文: "表皮の分化-角化の分子遺伝学-" 日本皮膚科学会専門医委員会, 37 (1995)