1995 Fiscal Year Annual Research Report
メラノサイトの分化過程でのC-Kitの発現(SCF、細胞外基質の役割について)
Project/Area Number |
06670885
|
Research Institution | St.Marianna University, School of Medicine |
Principal Investigator |
河 陽子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10082273)
|
Keywords | c-KIT / SCF / メラノサイト / 神経冠細胞 / 分化 / チロジナーゼ / TRP1 / TRP2 |
Research Abstract |
マウス神経冠培養系を用いた6年度の研究によりstem cell factor(以下SCF)がメラノサイトの発生においてc-KIT陽性メラノサイト前駆細胞の生存の維持と、ある段階迄の分化に関与する事がわかった。 7年度はSCFを添加培養したマウス神経冠細胞におけるチロジナーゼ(メラニン生成の鍵酵素)、チロジナーゼ関連蛋白TRP1、およびTRP2の発現時期を検索する事によりメラノサイトへの分化のどの段階にSCFが関与するかを明らかにする事を目的とした。 方法)SCF添加あるいは無添加でマウス神経冠細胞を培養し、培養3、4、5、6、9日に抗チロジナーゼ抗体、抗TRP1抗体、抗TRP2抗体にて酵素抗体法により染色し、陽性細胞を計数した。 結果)SCF無添加では全て陽性細胞の出現は認められなかったが、SCFを添加培養すると、c-KIT陽性細胞は6年度の結果から培養3日にはすでに認められ、培養9日をプラトーとする増加を示した。今回の結果ではTRP2陽性細胞は培養4日より出現以後増加し培養9日にはc-KIT陽性細胞より増加した。TRP1陽性細胞は培養5日から出現し、c-KIT陽性細胞と同様の増加傾向を示した。チロジナーゼ陽性細胞は培養9日に出現したが以後増加傾向は認められなかった。 考察)マウス神経冠細胞をSCF添加培養すると、c-KIT、TRP2、TRP1、チロジナーゼ陽性細胞の順に出現したが、これはin vivoでのメラノサイトの発生過程を反映していると考えられる。また、SCFはc-KITの発現を増強しTRP2、TRP1の発現を誘導するが安定したチロジナーゼの発現には機能しないと思われる。
|