1995 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌におけるp53癌抑制遺伝子欠失と放射線照射効果に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
06670904
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Research Institution | Gunma University School of Medicine |
Principal Investigator |
山川 通隆 群馬大学, 医学部, 講師 (40182414)
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Keywords | p53 / 食道癌 / 放射線療法 |
Research Abstract |
食道癌の癌遺伝子と放射線照射効果の関連について検討するために,とくに細胞周期に関するp53癌抑制遺伝子を取り上げ,p53癌抑制遺伝子の欠失と食道癌の初期照射効果および予後との関連,ならびに放射線療法後の局所再発の予測に有用かどうか,臨床的に検討した.また,7種のヌードマウス移植ヒト腫瘍を用いて,遺伝子産物の解析,照射による影響について,運動実験を行い検討した. 食道癌52例中,照射開始前で25/37例(68%),照射開始後で11/15例(73%)に,免疫組織化学的にp53タンパクの発現が認められた.臨床・病理学的諸因子による発現率の差は明らかではなかった.放射線治療による初期照射効果,予後ともに,照射開始前のp53タンパク発現の有無による差は認められなかった.放射線治療開始後でのp53タンパク発現例では,有意に予後が良好であり,放射線治療開始後のp53タンパク発現の有無は予後因子になりうると考えられた.照射開始前のp53タンパクの発現は,p53遺伝子の変異を反映しており,食道癌における放射線による細胞死はアポトーシスの関与よりも分裂死の関与の方が大きいものと考えられた. ヌードマウス移植ヒト腫瘍での検討では,上衣芽腫では,照射前p53の発現は陰性であったが,10Gy照射後に陽性細胞の顕著な増加が認められ,アポトーシスの出現とほぼ一致していた.他の6種は,照射前に陽性であり,小細胞癌,大細胞癌,扁平上皮癌で強陽性であった.照射後は6種ともに,照射前と同様であった.
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